( ^ω^)ブーンは魔法王子のようです RSSフィード
 

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1midarezakioukamidarezakiouka   ( ^ω^)ブーンは魔法王子のようです  プロローグ

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:42:58.73 id:rVBc5OKfO

 昔々、ある所にある王国がありました。

 その王国は世界を一つにし、そのお陰で世界中の人々は皆、平和に暮らしていました。

 その王国には一人の王様がいました。

 その王様は、生まれつき不思議な力を持っている魔法使いでした。

 王様は考えます。

 普通の人間には使えない魔法。使いようによっては、人々の役に立つ事の出来る力。

 自分の代でそれを終わらせるのは惜しい。

 王様はそれをより多くの人々に知って貰いたい。使って貰いたいと思ったのです。

 後に、王様は王妃との間に十三人の子供を授かりました。

 そして、その十三人の子供は皆、王様と同じ様に不思議な力を持っていたのです。

 しかし、その時――――大変な事が起こりました。

 その子供達の力はあまりにも巨大で、危険なものだったのです。

 十三人の子供の力、それは次第に重なり合い強くなっていきます。

 大地は割れ、天空は渦を巻き、雷鳴が轟き、大海は荒れ狂いました。

 このままでは人々の平和は脅かされるどころか、この世界は滅んでしまうでしょう。

 このままではいけない、そう王様は思いました。

 王様は悩んだ末に、その子供達を世界中の何処かに捨てる事にしました。

 皆が集まれば世界を滅ぼすかもしれない子供達。それを引き離せば、世界は滅ばないで済むかもしれない。

 そう考えたのです。

 案の定、地響きはやみ、嵐も収まっていきました。

 このまま滅んでしまうかに思えた世界。それは辛うじて救われたのです。

 そして、その王国には一人の子供が残りました。

 その少年の名前は、ブーン。

 今は王子、後に王様として国を統べる存在となる少年です。

 そして、ブーンが十五歳になった時。

 ブーンは全てを知る事になりました。自分の事も、昔あった出来事も。


 ブーンは世界中を巡る旅に出る事になります。

 十三人の魔法使いの王子と王女達。

 そう――――自分の兄弟達に出会う為に。


 ( ^ω^)は魔法王子のようです。

返信2007/10/09 23:23:55

2midarezakioukamidarezakiouka   ( ^ω^)ブーンは魔法王子のようです 第一話

第一話『始まりは流れ星と共に』

 お城のテラスに僕は居た。見上げた空には沢山の星が瞬いている。

 小さい星、大きい星。どれもが等しく輝き、夜の闇を明るくて照らしていた。

( ^ω^)「おっおっおっおっ……」

 星に近付こうとした僕をテラスを囲う様にし貼られた鉄柵が阻む。それに手を乗せた。

 鉄柵は夜の涼しげな風に晒されているせいか、ヒンヤリとした感覚が掌に伝わってきた。

 あの星に近付きたい。そう子供の頃から願って止まなかった。

 それが叶わない夢だと聞いて、また子供だった僕は泣き喚いたものだ。

 時が進み、世界を知りかけている今。未だ僕は星に行きたいと願い続けている。

 だから、たびたびこうして星が瞬く夜は自室を抜け出し、テラスに出て星を見上げているのだった。

( ^ω^)「お……?」

 夜空と言う名の星の模様の黒いカーテン。それを輝く何かが横切った。

 それを見るなり、僕は思わず有頂天になってしまい、夜空に向かって声を張り上げた。

(*^ω^)「流れ星だお!」

 古より伝わるある言い伝えを父から教えて貰った事がある。

 夜空を悠々と横切る輝く流星。それが掻き消える前に願い事を言うと、その願い事はいつの日か叶うと言う。

 尤も、僕は何回も流れ星を見ているものの、言い終える事が出来た事は一度も無い。

 それだけに、早く発見出来た今は絶好のチャンスだった。

( ^ω^)「おっおっ!! ――――」

 願い事は決まっている。いつも言い終える前に、流れ星は消えてしまう。

 今夜こそは、口の中に溜まった唾と共に決意を飲み込んで、僕は口を開く。

(;^ω^)「―――――あ……」

 が、一言を言う暇も無く流れ星は夜空へと消えてしまった。

 また今夜も願い事を唱える事が出来なかった。僕は落胆し、その場に崩れ落ちた。

( ;ω;)「おっおっおっ、流れ星のバカヤローだお」

('、`*川「……王子? 如何なされましたか?」

( ^ω^)「お?」

 四つん這いになり号泣する僕の背中に、穏やかで優しい声か覆い被さる。

 聞き慣れている、と言うよりは耳に染み付いている声。僕の側近、ペニサスだった。

('、`*川「毎晩毎晩……御身体に触りますよ?」

 涙で床を濡らす僕に暖かい毛布が掛けられる。それを受けた僕は涙を拭き、立ち上がった。

 そして、振り返った時には笑顔になっていた僕をペニサスは笑顔で返してくれた。

( ^ω^)「ありがとうだお、ペニサス。ちょうど身体が冷えていた所だお」

('、`*川「いえ……王子の側近として当然の事をしたまでです」

 その後、少し会話が途切れた。その溝を埋めるかの様に、ペニサスは懐から何かを取り出した。

 それは、小さな白いコップ。まだ、中からは湯気が立ち上ぼってた。

('、`*川「眠れないようでしたら……どうぞ、ホットミルクです」

( ^ω^)「おっ! ペニサスは本当に気がきくお! お嫁さんにしたいぐらいだお!」

('、`*川「……そんな、私ごときがお嫁さんだなんて」

 彼女は照れを隠す様に、赤に染まった頬を羽織っているショーツで顔を隠した。

 その様子があまりにも可愛らし過ぎて、それを見る僕もまた頬を染めたのであった。

('、`*川「あ、あの……王子」

( ^ω^)「お?」

 地べたに座り込み、ホットミルクに口を付けている僕にペニサスは遠慮した口調で話し掛けてきた。

 僕は振り返り、彼女の顔を見上げる。月光に照らされた彼女はより一層綺麗に見えた。

('、`*川「明日もありますし……そろそろ床に付いたら如何ですか?」

( ^ω^)「……いやだおー」

('、`*川「……おーうーじー」

( ^ω^)「……いーやーでーすーおー」

('、`*川「お、王子ぃ……」

(#^ω^)「嫌って言ったら嫌なんだお!!!」

 しつこいペニサスが少し癇に触って、思わず声を張り上げる。

 その声は城外にまで響いたのか、何処かで鳥が樹々から羽ばたく音が聞こえた。

(;^ω^)「あ……」

 そして、しまったと後悔する。夜中に声を張り上げてしまった事ではない。

 彼女に威圧的な態度をとってしまった事についてだ。自分は王族、普通なら当たり前の事。

 だが、この場合それをした相手が悪かった。

 何故ならペニサスは――――

('、`*川「……」

(;^ω^)「……ぺ、ペニサスさん?」

('、`*川「ふぇ……」

(;^ω^)「おっ! あっ! おっ!」

(;、;*川 「ふぇぇぇぇぇぇええええん!!!!」

(;^ω^)「おっおっおっおっおっおっおっおっおっおっ!!!!!」

 ペニサスは大の泣き虫屋だった。

 滝の様に流れ出る涙、騒音の如き鳴き声。これを止める術を僕は知らない。

(;、;*川「そんな言い方しなくたってぇぇぇぇぇぇ!! ふぇぇぇぇぇぇええええん!!」

(;^ω^)「おっおっ! ペニサスごめんだお!! 僕が悪かったお!」

(;、;*川「ぐすん……」

 慌てふためく僕を尻目に、咽び泣くペニサス。それを何とかなだめようとする僕。

 王子という立場ながら、あまりにも情けない姿であるだが、僕達の間ではこれが普通だった。

 ペニサスとは小さい頃に出会いそして共に人生を歩んできた。

 ペニサスは自分の側近と友達を兼ねている。何よりも大切な存在なのだ。

(;、;*川「ふぇぇぇん! 側近の私がこんなんじゃ駄目ですよね!? ゴメナサァァァァイッ!!」

(;^ω^)「い、いいからまずは泣きやんで欲しいお……」

( ^ω^)「……泣きやんみたいだおね。大丈夫かお?」

('、`*川「は、はい……スイマセン王子。ご迷惑をおかけしまして……」

 彼女はショーツで涙を拭き、よろめきながら立ち上がった。

 結構長い間泣いていた為か、目の周りは赤く腫れてしまっている。

 尤も彼女の場合は常にこの様な調子なので、彼女の顔には目の周りから頬にかけてが常に赤くなっている。

 そのせいで彼女はいつも照れている様に見えるのだ。

( ^ω^)「……ま、いいお。誰かさんが泣くから、素直に寝る事にするお」

('、`*川「う……王子ィ」

(;^ω^)「お……冗談だお。また泣くのは止めて欲しいお。」

 また泣きそうになった彼女を後ろに従え、僕はテラスを後にした。

 背中で星が瞬く夜空に別れを告げて。また次の夜に会おうと。



 夜空に一つの星が輝いた。

 星空の上のどの星の強く、綺麗にその星は輝いた。

 そして、その星を囲む様に幾つかの星が瞬いた。時を増すごとにそれは増えていった。

 また一つ、また一つと。

 やがて、十三個の星が夜空に成った。

 それはいつまでも、無限大に広がる夜空の中で輝き続けていた。

 テラスを抜けた先は直ぐに廊下に通じている。城自体が広いせいか、廊下も無駄に広く長い。

 その廊下を余す所無く、真紅色の絨毯が床一杯に敷き詰められてある。

 そして、壁の所々に備えられた蝋燭が、断続的に置かれた鎧や壺などを不気味に照らしている。

(;^ω^)「……」

('、`;川「……」

 幾ら住み慣れた場所とは言えどこれは不気味過ぎであり、思わず恐怖で身が震えた。

 それはどうやら横にいるペニサスも同じようだ。カタカタと歯が噛み合っていない音が聞こえる。

(;^ω^)「おっおっ……」

 例えば、模擬の鉄鎧の前を通る時など肝が冷える。

 鎧の隙間から見える虚無の暗闇から何か飛び出てくるのではないか。

 それとも、生命無き鉄鎧が一人手に動き自分を襲うのではないか。

 そう言う要らぬ想像をしてしまうのもこの廊下があまりにも暗く、あまりにも不気味なせいだろう。

 恐怖に抗いながら、廊下を二人で歩いていく。

 ただ、身体が震えているせいか、その足取りはとても遅かった。

('、`;川「こ、この廊下……相変わらず怖いですね」

( ^ω^)「……」

 彼女はいつの間にか僕の服の裾を掴んでいた。恐らく無意識の行動なのだろう。

 王族たる自分に踏み入った行動をしてくる人間は少ない。

 地位の差と言うものはそれだけで、人の価値を決めてしまっているからだ。

 それのお陰で僕にはなかなか友達が作れなかった。皆が僕との間に壁を作ってしまっているのだ。

 彼女はそんな僕と友達になってくれた。

 そんな怖がりの彼女を僕は守らなくてはならない。恋人だとか大それた事ではなく。

 友達として。僕は彼女を守らなくてはならない。いつの日からかそう決めていた。

( ^ω^)「……ペニサス」

('、`*川「……ははははひゃい! ……な、何でしょう?」

( ^ω^)「もう、大丈夫だお」

('、`*川「……え?」

( ^ω^)「……あれが手頃かお」

 そう呟き、手を壁に備えられた蝋燭に翳した。

 ユラユラと揺れる灯火の熱を掌に感じる。

('、`*川「何を……あ。ま、まさか王子……魔法を!」

( ^ω^)「そのまさかだお」

 軽く息を吸い、掌から蝋燭の熱を取り込む様に掌に力を込めた。

 それに呼応したかの様に蝋燭の灯火の揺らめきは強さを増していく。

 段々と灯火の揺らめきは見るからに強くなっていき、やがてそれが頂点に達する。

 そして、僕は唱えた。

( ^ω^)「『炎よ、星と成れ』」

 その言霊と共に蝋燭の上で燃え盛っていた灯火は掻き消え、その灯火は僕の掌へと移った。

 その灯火はいつ間にか、掌の上で形を変えていた。

 轟々と燃え盛る炎から、暗闇を照らす星へと。

 それは、まるで宝石の様であった。夜空から取り出した星と言う名の宝石。

 その星は暗闇に包まれた廊下を明るく照らしていた。行く末を照らす様に。

 人間が持ち得る力。物を考える力。物に触る力。

 そのどちら共とは何もかもが全く異なる力。物を造り出す力、それが魔法。

 その力は、ある王族の血族だけが持ち得る力だった。

 それが僕、世界を統べる王の血族。ホライゾン家の長男、ブーン・ホライゾン。

( ^ω^)「さ、明るくなったお。部屋に帰るお!」

('、`*川「……」

 炎を媒体にし、星を生み出す魔法。それが僕の力。

 この力は普通の人間が持ち得ない、言わば異常な力である事は既に理解していた。

 尚、僕がこの力を持っている事を知るのは僕と両親、そしてこのペニサスだけであった。

('、`*川「相変わらず物凄い力ですね……」

( ^ω^)「お? おっおっ……そうでもないお!」

('、`;川「そうでもありますよ……」

 いつの間にか身体の震えが止まっていた彼女の手を取り、星に照らされた廊下を歩いた。

 その時の彼女の赤い頬が更に赤く染まった事に、僕は気付かなかった。

 少しして自室に着いた。彼女の手によって開けられた木扉を潜る。

 少し冷えた空気が頬を撫ぜる。眠るには程よい涼しさだった。

( ^ω^)「―――戻れ」

 ベッドの脇の棚に備えられた蝋燭の先端に掌の上で浮かんでいる星を近付けた。

 すると星は瞬く間に炎へと戻っていき、蝋燭に火を付けた。枕元が明るく照らされる。

 少し、身体に疲労感が残った。この力、魔法を使う時はいつもそうだった。

( ^ω^)「おっおっおっ。今日も疲れたお……ちと眠いお」

('、`*川「お疲れ様です。そういえば王子……明日の予定の方は大丈夫でしょうか?」

( ^ω^)「ふっふっふっ……忘れる筈が無いお。だって明日は特別な日だお!」

 明日の事を思うと、含み笑いを漏らさずにはいられなかった。

 明日は特別な日なのだ。一年に一度しかない、他には変えられない特別な日。

('、`*川「はい、明日で十五回目の誕生日を迎えますね。おめでとうございます」

(*^ω^)「おっおっおっ! ありがとうだお!」

 明日で、正確には後何時間もすれば僕は誕生日を迎える。

 十五歳、ようやく大人になったと認めて貰える年だ。嬉しくない筈か無かった。

('、`*川「明日の正午、お城の中庭の方で祝いの催し物も企画しておりますので」

(*^ω^)「わかったおー。あ、って事はケーキも食べれるんだおね?」

('、`*川「はい。国中のシェフが腕を振るって料理を作ります。勿論、ケーキも」

(*^ω^)「おっおっ! 楽しみだおー!」

 明日の事で胸を弾ませながら、僕は掛け布団を身体に被せた。

 同時にペニサスが蝋燭の灯火を消してくれた。部屋の中は明かり一つない暗闇となる。

 ただ、瞼をつぶっても眠る事は出来なかった。身体は疲れているというのに。

( ^ω^)「……ペニサス?」

('、`*川「まだ、おりますよ。何でございましょう?」

( ^ω^)「……眠れないんだお」

('、`*川「……ですが、明日は忙しくなると存じます。眠っておかなくては」

( ^ω^)「何か……胸騒ぎがして、眠れないんだお」

('、`*川「え……?」

 窓の外を見れば、そこには変わらず綺麗な星空があった。

 そうしたら、ずっと前から、とても昔から抱いていた胸騒ぎが少しは治まった気がした。

 十五歳の誕生日。いつの日からか、それは何故か僕の心の奥底に深い胸騒ぎを抱かせている。

 その特別な日は否応無しにやってくる。この胸騒ぎが杞憂かどうかが証明されるだろう。

( ^ω^)「誕生日、嬉しい事だお。でも、何故か……」

('、`*川「……ブーン王子」

( ^ω^)「……ゴメンだお。変な事言って……気にしないで欲しいお」

 暗闇で姿は見えないが彼女に笑顔を向け、布団を頭から被った。

 胸騒ぎは未だ治まらないが、彼女に少し話を聞いて貰ったお陰で眠る事は出来そうだった。

('、`*川「あの……」

( ^ω^)「おやすみだお、ペニサス」

('、`*川「……えぇ、おやすみなさいブーン王子」

 彼女が部屋が出ていき扉の閉まる音が聞こえると同時に、僕は眠りに付いた。

 いつもは必ず何かしらの夢を見る僕が全く夢を見ない程、それは深い眠りだった。




('、`*川「ふぅ……」

/ ,' 3「……ペニサス」

('、`*川「あ、王様。……まだ起きていらっしゃたのですか」

/ ,' 3「ほっほっほっ……明日の事を考えると寝付けなくてのぅ」

('、`*川「王様も……ですか」

/ ,' 3「明日は特別な日じゃからのぅ。ペニサスも眠れぬのか?」

('、`*川「えぇ……それに、ブーン王子も。眠れなくて、また星を見ていたようです」

/ ,' 3「ふむ……あやつもなかなかどうして勘が鋭いのぅ」

('、`*川「……」

/ ,' 3「明日はブーンにとって人生が変わる日となるじゃろう。ブーンはそれを身体で理解しておる」

('、`*川「……王様」

/ ,' 3「して……ペニサス。勿論、それはお主にも言える事なのはわかっておるな?」

('、`*川「……えぇ、存じております」

/ ,' 3「ふむ、よろしい。ほっほっほっ」

/ ,' 3「それにしてもじゃ……そうか、いよいよ明日か」

('、`*川「あの……王様」

/ ,' 3「……む? 何じゃ?」

('、`*川「本気、なのですか? 明日の……その……」

/ ,' 3「無論じゃ。変更は決してない……それにこれはブーンが生まれた頃から決めていた事じゃ」

('、`*川「ですが……!」

/ ,' 3「くどい。それにペニサス……主の言いたい事はわかっておる」

('、`*川「ならば……何故……!」

/ ,' 3「ブーンには……いや、儂の子供達はそういう運命の元に生まれたのじゃ」

('、`*川「王様……」

/ ,' 3「子に試練を与える事は辛い。じゃが、儂はそれ以上に我が子達の幸せを願っておる」

('、`*川「……」

/ ,' 3「……明日の祝典。この事は全国民が知る事となるじゃろう」

('、`*川「明日、全国の大陸代表が集まります。その群衆の前で……」

/ ,' 3「……うむ、いかにも。儂は……言うつもりじゃよ」

/ ,' 3「儂は、明日の祝典にて民に以下の事を語る事をここに宣言する」


/ ,' 3「――――儂がかつて犯した罪を」



/ ,' 3「――――魔法の存在を」



/ ,' 3「そして、魔法を扱う全世界に散らばり生きる我が子供達――――」

/ ,' 3「―――――『魔法王子』の存在を」


    『( ^ω^)ブーンは魔法王子のようです』


第一話 FIN

返信2007/10/09 23:27:04

3midarezakioukamidarezakiouka   ( ^ω^)ブーンは魔法王子のようです 第二話

2 : ◆upHA4seHaQ :2007/10/11(木) 00:32:12.52 ID:0bCmZ17BO

第二話『空模様』

 白金色の城、VIP城は朝日の陽光に照らされると、宝石の様に眩しい程に輝く。

 城下町の人々はその輝きで心地よく目覚め、平穏な朝を迎えるのだ。

 城内に住む人間も、それはまた同様である。

 どこからともなく聞こえてくる鶏の鳴き声を目覚ましに、殆どの人間は動き始める。

 それから少ししたら、離れの小城にある厨房からパンの焼けた匂いが香ってくる。

 その時間になってまだ眠りこけている人間がいるとすれば、それはVIP城の王子、ブーンだけである。

('、`*川「ハァハァ……王子……もう起きてるかな……?」

 ペニサスは寝ぼけ眼を擦りながら、廊下を小走りで駆けていた。

 足の向く先は、ブーンの寝室。時折、窓の縁に佇む小鳥が驚いて飛び立った。

 定時になり、朝食が食堂のテーブル一杯に並べられてもブーンは起きてはこなかった。

 ブーンは元来、寝坊の癖がある。それに加えて、昨晩は眠れないと言っていた。

 徹夜したと言う事は無いだろうが、眠りが短い事もあれば寝坊するのも無理はない。

 ただ、側近として主君に朝食を抜かせてしまう訳にはいかなかった。

('、`;川「ゼェ……ゼェ……」

 暫くしてペニサスは、息を切らしながらもブーンの寝室の前に到着した。

 額に浮かぶ汗を拭う事も忘れ、まずは呼吸を整えんと息を軽く吸った。

('、`*川「ふぅ……」

 耳を澄ましてみても、悠々と佇む木扉の向こう側から物音がする気配はない。

 今し方駆け抜けてきた廊下と同じく、微かに小鳥の囀りが聞こえてくるのみだ。

('、`*川「やっぱり寝てるのかな……」

 扉を軽く何回かノックした。ただ、少しも答えはかえってこない。

 陽光に照らされた細廊下の中で、ノックの音が虚しく木霊した。

('、`*川「王子、起きていらっしゃいますか? 朝食の御用意が整いました!」

 軽く声を張り上げ、今度はもう少し強めに再度扉をノックする。

 またも、返事は無かった。

 ペニサスの声や扉がノックされる音に気付かぬ程に深く眠り込んでいるのだろうか。

('、`*川「……う~ん」

 腕を組んでしばし考え込んだ後、ペニサスは意を決した様に扉を両手で押した。

 木扉はペニサス自身にすら聞こえない程に微かな音を立て、静かにゆっくりと開けられていった。

('、`*川「……失礼しま~す。王子~……朝ですよ~」

 ペニサスは抜き足でで静かに部屋に足を踏み入れた。

 カーテンにより陽光が遮られた部屋は少し薄暗く、中の様子を詳しく伺う事は出来ない。

 部屋の中央に置かれたブーンが寝ているであろうベッドも影に隠れてしまっていた。

('、`*川「王子ったら……ほら、起きてくださいってばぁ」

 ペニサスは嘆息を漏らしながらも窓に歩み寄り、一気にカーテンを開けた。

 今迄遮られていた分を取り返すかの様に、陽光が窓を通して部屋の中を照らす。

('、`*川「んん~……」

 深呼吸と共に窓を開く。その所為で小鳥は窓の縁から、ペニサスの肩へと羽を休める場所を移した。

 空を見上げれば、天気は見事な快晴だった。雲一つない空に小鳥の囀りが溶け込んでいく。

('、`*川「……あら?」

 手を掛けた鉄柵に妙な感触があるのを感じた。

 冷たい鉄とは違うゴワゴワとした妙な手触り、それは何処か植物のそれを連想させた。

('、`*川「え……」

('、`;川「ェエェエェェエエッ!!??」

 ペニサスは思わず絶叫してしまった。

 肩に止まっていた小鳥がその大声に驚き、飛び立ってしまった程だ。

 鉄柵には一本の長い荒縄がくくり付けてあった。

 その所々がほつれ欠け、いつ千切れてもおかしくない程にそれは古い代物であった。

 荒縄の端が地面に付くか付かないかの位置で悠々と左右に小刻みに揺れながら浮いていた。

('、`;川「ま、まさか……!」

 問題はこの荒縄が何に使われたのか。

 部屋に入る為に使ったのか、それとも出る為に使ったのか。

 しかし、考えるまでもなかった。ペニサスには既にその答えがわかっていたのだ。

('、`;川「王子!!!!!」

 急いで振り返り部屋の中、特にベッドがある方向を見る。

 そこにあるのは不自然に盛り上がった毛布。その中から聞こえる筈の寝息は聞こえない。

('、`*川「……ブーン王子!!」

 声を張り上げながら、その不自然に盛り上がった毛布を捲る。

 そこには――――――――――

(人形^ω^)

(;、;*川「王子ィィィィィィィィィィ!!!!!」

 どう見ても人形です。本当にありがとうございました。

 時折、ブーンはこうして部屋から脱走していた。

 城内には騎士が巡回している為、わざわざベランダから縄を使ってまで脱走を謀っているのだ。

 それも、物心が着いたぐらいの時からずっと。荒縄が古いのもその為だ。

 そのたびに、ペニサスを含めた城の騎士や執事などが総出で探す事となるのだが。

(;、;*川「王子はもう……! 本当に……グスゥ」

 ペニサスは溢れ出る涙を軽く拭うと、急いで部屋を飛び出した。

 暫く涙を流し続けていたせいか、廊下の絨毯には点々と涙で出来た水玉模様が浮き出ていた。

(;、;*川「王子の馬鹿ァァァァアアアア!!! 絶対に捕まえてやるんだからァアアアア!!」

 子供の頃からの長い付き合い。

 ペニサスにはブーンが向かった先はわかっていた。

 VIP城の城下町は世界最大の規模を誇る。

 一つの小国はあろかという敷地内に何百もの住居が立ち並んでいて、その人口も千に届く。

 海に面していて港もあるので、貿易も盛んであり、城下町の商店には全国から集められた品物が並べられる。

 ただ、その規模の反面か治安は悪い。

 建物が密集しているお陰で、所々が迷路の様になっている。

 その迷路の奥に行く程、治安は悪くなっていく。路上には屍体が横たわり、娼婦が裸体をさらけ出す。

 その迷路の奥の住民以外は、そこに近寄る事は決してしない。

 近寄ったが最期、金と服を盗られるか、命を取られるか。その二つしかない。

 その城下町の吹き溜まりとも言える場所にブーンはいた。

 広大な城下町の中でも最大の酒場、その名もバーボンハウス。

(*^ω^)「うぃ~……マスタァ~……もう一杯」

(`・ω・´)「……飲み過ぎだぞ、ブーン」

(*^ω^)「うるへー! 今日は酔ってやるって決めたんだお!」

(;`・ω・´)「……言っておくけどミルクで酔う事は出来ないぞ?」

( ^ω^)「え? マジ?」

(`・ω・´)「本気と書いてマジ」

 天窓から漏れた陽光が、カウンターに置かれたグラスに反射し煌めきを放った。

 グラス一杯に満たされたミルク。そのすぐ横のカウンターにブーンは伏せっている。

 既に何杯もミルクを飲んだのか、口回りはミルクで白く染まっていた。

(`・ω・´)「……ったく、朝早くに来たと思ったら。飲ませろ!……だもんな」

 酒場のマスターのシャキンはグラスを拭きながら、カウンターで伏せっているブーンを見下ろした。

 その眼差しは何処か暖かいものがあり、喩えるならば子供を見つめる父親の目に似ていた。

(*^ω^)「うぃ~……」

(`・ω・´)「……で、ブーン」

(*^ω^)「……お?」

(`・ω・´)「何があったんだ? 君がこの酒場に来る時は……決まって何かしら抱え込んでくるもんだ」

( ^ω^)「おっおっおっ……マスターは鋭いお」

(`・ω・´)「俺はブーンが子供の時から見ている……それくらい当たり前だ」

( ^ω^)「……」

 ブーンは飲み干したグラスをカウンターに置いた。

 ミルクかなくなったグラスの中、幾つかの氷がぶつかり合い打楽器の様な音を奏でた。

(`・ω・´)「……なるほど、胸騒ぎね」

( ^ω^)「……そうなんだお」

 ブーンが語り始めてから小一時間が経過していた。

 幼少の頃よりの胸にある違和感、それを語るには時間が必要だった。

 魔法、というただ一点を除いた全てを語り終えた頃にはそれだけの時間が経っていた。

( ^ω^)「今日はブーンの誕生日の祝典をやるんだお。この国をあげてお祝いするらしいお」

(`・ω・´)「そうらしいね。一国の王子の為の催しだ……さぞ盛大なものとなるだろう」

( ^ω^)「……マスターは祝典について何か知らないかお? 僕、何も知らされてないんだお」

(`・ω・´)「……ふむ」

 シャキンは見事に生え揃った顎鬚をなぞり、低い声で唸った。

 酒場と言えば、様々な人々が集まる場所であり、それ故か情報も入り易い。

 その街を知るには、まず酒場を知れ。という諺も存在するぐらいだ。

 それはこの城下町でも同じ。この酒場、バーボンハウスは情報屋も兼ねていた。

(`・ω・´)「……あるよ。少し気になる事がある」

( ^ω^)「!!! マジかお!?」

(`・ω・´)「本気と書いてマジ」

(`・ω・´)「聞いた話だと、祝典で何か大きな発表があるらしいね」

( ^ω^)「……発表?」

 いつしか酒場の中は賑やかになってきた。空席だったカウンターが瞬く間に埋まっていく。

 シャキンは注文を受けたり、酒を注いだりと忙しなく動きながらもブーンへの話を続けた。

(`・ω・´)「内容までは知らないけど……まぁ、とにかく大きな発表らしい」

( ^ω^)「発表……何だろうかお」

(`・ω・´)「それのせいじゃないかい? 虫の知らせとも言うじゃないか」

( ^ω^)「むむむ……」

(`・ω・´)「まぁ、単なる噂だ。あまり気にしてくれても困る」

(`・ω・´)「それより、ブーン」

( ^ω^)「お?」

 ブーンは考え込んでいて下に俯いていた顔を上げる。

 すると、浮かない表情が見る見る内に晴れやかななっていき、遂には歓喜の雄叫びをあげた。

(*^ω^)「お……ぉおおぉー!!!」

 その視線の先、カウンターの上には一つの小さなケーキが置かれていた。

 白い生クリームの上に十五個の蝋燭が突き刺さっていて、苺の実が盛り沢山にそれを囲んでいる。

 それはとても上手な出来上がりと言えない拙い代物だったが、何より心が込められている様に見えた。

(`・ω・´)「お誕生日おめでとう、ブーン王子」

(*^ω^)「……ま、マスター」

(`・ω・´)「ん、なんだい?」

( ^ω^)「ぼ、僕……僕……!」



 (*^ω^)「マスターになら後ろの処女差し上げてもいいお」

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(_(_r )

  しし′

(`・ω・´)「死ね」

( ^ω^)「……食べてもいいかお?」

(`・ω・´)「勿論だ、その為に作ったんだから」

(*^ω^)「おっおっおっ!」

 銀製のフォークで生クリームと一緒に苺をケーキの上から救い取った。

 途端に食欲をそそる甘い香り。まだ朝食を済せていないブーンは思わず腹の虫を鳴らした。

 これを口に含んだら途端に甘い味が舌を踊る。それを想像しただけで涎が口の中に溜まる。

(*^ω^)「むふふ……」

 そして、それを口の中に運ぼうとした――――その時だった。

(*^ω^)「おっおっ……いっただたきまー(ry」

「ブーン王子ィィィィィィィィィィイイイ!!!!!!」

( ^ω^)「お?」

 自分の名を呼ぶ声が聞こえた。それも、時を増すごとにその声は大きくなっていく。

 最初は、微かに聞こえる程度だったが、直ぐにそれは嫌にでも耳に入る程に大きくなっていた。

(;^ω^)「おっおっおっおっおっおっ!!!!」

「ブーン王子ィィィィィィィィィィイイイ!!!!!!」

(;`・ω・´)「えっ? 何の騒ぎ? えっえっえっ? 何? 敵襲?」

 そして、その大声が途端にピタリと止まった。それも酒場の前で。

 一拍置いて、轟音と共に木扉が開かれた。それを皮きりにまた響き渡る大声。

(;、;*川「ブーン王子ィィィィィィ居たァアアアアァアアアア!!!」

(;^ω^)「!!! ペニサス!!」

 酒場内に響き渡る金切声。それの音源のペニサスの顔と言ったら酷いものだった。

 皺くちゃの顔面は涙と大量の鼻水で覆われ、来るまでに水溜まりにでも突っ込んだのか全身は泥だらけだった。

(;、;*川「帰りますよォォォ!!! 王子ィィィィィィ!!!」

(;^ω^)「あーあーあーわかったお!!! だから泣きやむお!」

('、`*川「あ……はい、わかりました」

  ヽ(^ω^)/ズコー  「泣きやむのかよwwwwww」

 \(\ ノ

、ハ,、  ̄

 ̄"

(;`・ω・´)「なんというリアクション……これは間違なく名人芸」

('、`*川「もう王子……また脱走したと思ったら」

( ^ω^)「モグモグごめんだおモグモグモグモグ正直反省してモグモグモグモグ」

(`・ω・´)「ブーン、口の中にものを入れたまま喋るんじゃない殺すぞ」

(;^ω^)「こ、ころ……! モグモグお、おk! わ、わかったおモグモグ!」

 金属音を掻き鳴らし、ブーンはフォークを皿の上に置いた。

 掌大程の大きさはあったケーキは既になくなってしまっている。

 ブーンがこの短時間で食してしまったのだ。残りはブーンの口一杯に頬張っているのみである。

('、`*川「あ、あの……マスター。スイマセン、王子がご迷惑を」

(`・ω・´)「いや、大丈夫だよ。逆に楽しませて貰ってるよ」

( ^ω^)「モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ」

('、`*川「そう言って頂けたら助かります……まったく、今日は忙しいのに王子ときたら」

(`・ω・´)「ん……今日の祝典の事だね。いつもとは何か違うのかい?」

( ^ω^)「モグモグモグモグ! モグモグ……!」

('、`*川「……え?」

(`・ω・´)「ブーンも気になってたよ。今日の祝典の事を……ね」

('、`*川「そう……ですか」

(`・ω・´)「あぁ、無理しなくていい。上の人達にはその人なりの事情があるだろうからね」

( ^ω^)「モグモグ? モグモグモグモグ? モグモグモグモグ!」

('、`*川「はい、ありがとうございます。あ、でも少しだけなら」

(`・ω・´)「……む、何かな?」

( ^ω^)「モグモグモグモグ♪ モグモグ~モ~♪」

('、`*川「それはですね……発表される事なんですけど……いいニュースとは言えないかもしれません」

(`・ω・´)「……」

( ^ω^)「モグモグッ♪ モグモグッ♪ モ~~~……モグモグッ!!」

('、`#川「……」

(#`・ω・´)「……」

( ^ω^)「モグモグゥウウン……モグン!♪」

(#`・ω・´)「さっきからうるせぇ」('、`#川

( ^ω^)「すいませんでした、もうしません」

(#)ω^)「仮にも王族を殴るとは何という不届き者な輩だお……」

('、`*川「それじゃあ、マスター。私達帰りますね、ありがとうございました」

 両頬が大きく腫れたブーンを小脇に抱えながら、ペニサスは頭を下げた。

 そんな彼女が着ている皺くちゃ泥だらけのドレスを見て、シャキンは軽く唇の端を歪ませた。

(`・ω・´)「うん、ペニサスちゃんも色々と大変たろうけど頑張って」

('、`*川「えぇ……マスターも」

( ^ω^)「また来るお!! マスター今度は酒飲ませてくれお!」

(`・ω・´)「ハハハ、いつでもおいで。酒は駄目だけどね」

 ペニサスとブーンはまた一度シャキンに頭を下げると、慌ただしく走り去った。

 シャキンは朝日をバックに手を振るそんな二人を見て、笑顔で手を振り返した。

(`・ω・´)「ふぅ……慌ただしい朝だったな」

 腰に手を当て、溜息を付く。そんな彼の顔は何故か嬉しそうだった。

 そして、そのまま見上げた空。

 燦々と輝く太陽に灰色の雲が取り囲み始めていた。

 段々と太陽は雲の後ろに隠れていき、辺りは少し薄暗くなる。

 何処か不穏な雰囲気を感じさせる雲行きだった。

(`・ω・´)「……雨でも降るのかな」

 シャキンは今度は深く溜息をついた。

 雨は嫌いだった。酒場という仕事柄、天候はもろに売上に反映してくる。

 それに加えて、湿気は何処か人を憂鬱にさする力がある。少なくとも、シャキンはそうだった。

 踵を返し、店の中に戻った。

 今は客もいない、今の内に朝食でも取っておこうかと思い立ったのだ。

(`・ω・´)「……あれ?」

 そこで違和感を感じた。ブーン達を見送る時に客は店内にはいなかった筈だった。

 朝食や朝酒の客のみで、その人らはすぐに店を出ていった。その後は人が途切れていたのだ。

 そして、酒場の入口で二人を見送った。それは確かだった。その際に客は来ていない。

 だと言うのに、何故。

( ^Д^)「……」

 店の中に人がいるのか。

(;`・ω・´)「……」

 もしかしたら見間違いかもしれない。店の中に人が残っていたのかもしれない。

 だとしたら何もおかしい事はない。取るに足りないただの勘違いに過ぎない。

 だが、違和感は拭えない。

 確かに店の中に人はいなかったし、誰も入口から入ってきてもいないのだ。

 薄暗い店内、店の真中で何をする訳でもなくその男はシャキンを見据えていた。

 浮浪者の様な薄汚れたボロ布を身に纏い、それで顔の大半を隠している。

 だが、それでも男の顔は伺う事が出来た。何故かその顔は嬉しそうに笑みを浮かべていた。

( ^Д^)「……」

(;`・ω・´)「い、いらっしゃいませ。か、カウンターの席が空いております」

( ^Д^)「……あぁ、そうするよ」

 シャキンは震えた声で着席を促した。声の震えを抑える事は出来なかった。

 それに従う様にその男はゆっくりとカウンターに歩み寄り、椅子に腰掛ける。

(`・ω・´)「あ……」

 その時、シャキンは酒場を覆う違和感の正体に気付いた。

 何故か酒場内が湿気に満ちている。空気に水が混じっていると感じる程にそれは濃い。

 その原因がわかった。

 男はびしょ濡れだった。それも尋常ではなく。

 まるで土砂降りの雨に打たれてきたかの様な、現に男の身体で濡れていない所は見当たらなかった

( ^Д^)「……」

(;`・ω・´)「……」

 男が動くたびに水が地面を穿つ音が聞こえる。

 まるで男の周りだけ常に雨が降っているかの様だった。

( ^Д^)「マスター……そうだな、キツい酒を頼む」

(`・ω・´)「……かしこまりました」

 手際良く酒を作っていった。この店一番の酒に果実を軽く搾っていれる。

 そして、それをグラスに移し替えし、カウンターに差し出した時だった。

(`・ω・´)「……え」

 雨が降ってきた。窓の硝子を幾つもの雨水が叩いている。

 土砂降りとまではいかず、小降りの霧雨の様だ。ただ、直ぐに止む様には見えなかった。

 シャキンはそれを見て、無意識に少しだけ肩を落とした。

( ^Д^)「……マスターは雨は嫌いかい?」

 今迄口数が少なかった男。それがか唐突に口を開いたので、シャキンは少し驚いた。

 先程より近くにいるお陰で、男の表情がハッキリと見て取れる。少し笑みが深まった様に感じた。

 そして、変わらず男は全身かびしょ濡れだった。水の匂いが濃く香る。

(`・ω・´)「そうですね、どちらかと言うと嫌いです。ジメジメしてますしね」

( ^Д^)「そうだよな。わかるよ、雨の日はジメジメしてる……でもよ、俺は思うんだ」

(`・ω・´)「……?」

( ^Д^)「 だ が 、 そ れ が い い 」

(;`・ω・´)「……」

 雨はますます強くなっていった。窓硝子を絶えず叩く雨水。そして時折、遠くの方から雷鳴の轟く音が響いた。

 ただ、それはシャキンの耳には入らなかった。目の前の男の異様さに目を奪われていたからだ。

( ^Д^)「あ、あぁ……すまんな。雨ってものが好きなもんで、その事になると興奮しちまう」

(;`・ω・´)「い、いえ……」

( ^Д^)「それよりだ……いい酒だな、マスター。旨いよ」

(`・ω・´)「……ありがとうございます」

 男が飲み干したグラスの氷がカランと音を立てる。

 雨音のみが響く酒場の中で、それはよく響いた。

( ^Д^)「……ごっそうさん、マスターお勘定を頼む」

(`・ω・´)「あぁ、勘定はよろしいですよ」

( ^Д^)「……本当かい?」

(`・ω・´)「えぇ、一見さんからは貰わない様にしてるんです。それに一杯だけですし」

( ^Д^)「……」

 男は無言で背中を向け、入口へと足を進めた。

 男が自分が離れていく程、張り詰めていた空気が和らいでいく気がした。

( ^Д^)「そうだ、マスター……ちょっと聞いていいかい?」

(`・ω・´)「……はい、何でございましょう?」

 入口を見据えたままでいる男の背中を向け、何となしに言葉を返した。

 それを受けて、男はゆっくりと振り向いた。不気味にも首だけを動かして。

(;`・ω・´)「ひ……!」

 その刹那、視界が一瞬閃光に包まれた。遅れて、耳を劈く程の雷鳴が轟いた。

 雷でも何処か近くに落ちたのか。耳鳴りが酷く、視界がぼやけた。

( ^Д^)「今日の城で行われる祝典について……マスターは何か知ってるかい?」

(;`・ω・´)「ほえ?」

 拍子抜けして、思わず間抜けな声が漏れた。

 どんな言葉が飛び出してくるかと思っていたら、意外にも男はブーンと同じ事を言ったのだ。

 ただ、状況は違う。その事を聞いたのはブーンではなく、異様な雰囲気を醸し出す謎の男なのだ。

(`・ω・´)「い、いえ……詳しくは。王子の誕生日を祝う事は聞いていますが」

 シャキンは嘘をついた。何故か嘘をつかなくてはいけない気がしていた。

 全身から汗が滲み出る。

 湿気から出る脂汗とは違う、異様な雰囲気に晒されて出た冷や汗だった。

( ^Д^)「そうかい……わかった、ありがとう」

(`・ω・´)「いえ……こちらこそ。またお越し下さい」

 シャキンは早口でそう述べると、頭を下げた。これ以上、男と関わりたくなかった。

 男の笑顔も、風貌も、発言も全てがシャキンの背筋を凍らしていた。

 酒場の仕事を始めて、この様な客に出会うのは始めての事だった。最初で最後の事だと願いたかった。

( ^Д^)「……雨も止んだようだ」

(`・ω・´)「え……!?」

 その男の言葉に思わず、シャキンは窓の方に振り向いた。

 言葉通り、雨は止んでいた。

 太陽が顔を出しているのか、陽光が差し込んでおり小鳥の囀りさえ聞こえてくる。

 しかし、突然の事だった。先程までは、男に頭を下げるまでは確かに雨が降っていたのに。

(`・ω・´)「……あれ?」

 不思議に思い、男が立っていた入口に顔を向ける。既に男の姿はなかった。

 窓を見たのも一瞬だった。その間に立ち去ってしまったのだろうか。

(`・ω・´)「……」

 嫌な予感がしていた。

 雨雲は消えて空は晴れていると言うのに、男の異様な雰囲気は残り香の様に辺りを覆っていた。

 間一髪だった。城下町から城へ戻る途中、突然雨に降られたのだ。

 既に城の敷地内に入っていたので事無きを得たが、それでもブーンとペニサスは少しだけ服を濡らしてしまっていた。

(;^ω^)「はひーはひー……ギリギリだったお!」

('、`;川「そう……ですね……間一髪でした」

 慌てて扉を開け城内に入ったと同時に、雨が本格的に降り出した。

 扉の外から雨が地面を穿つ音が響いてくる。扉に手を当てると、雨の冷たい感触までが伝わってくる気がした。

('、`*川「それにしても……」

( ^ω^)「おっ……?」

 城内は酷く慌ただしかったた。騎士やメイド、それに加えてシェフまでが忙しなく動いている。

 料理や資材を運んでいる所を見ると、どうやら祝典の準備をしている様だった。

 玄関前の広いホールに敷き詰められているかの様に何十人の人々が駆け回っている。

 それはまるで、嵐に荒れ狂う大海原の様にも見えた。それ程に、それは圧巻の光景だった。

( ^ω^)「雨なのに祝典やるのかお……?」

('、`*川「そう……みたいですね。この様子では」

( ^ω^)「マジか」

('、`*川「本気と書いマジです」

( ^ω^)「いくらブーンがいい男だからって水にしたたるのは嫌だおwww」

('、`*川「誰が上手い事を言えとwww」

( ^ω^)「……お?」

 そして、突然な辺りが静けさに包まれた。ブーンの笑い声が虚しく響き渡る。

('、`*川「え……なに?」

 二人は慌てて周りを見渡す。

 すると、今迄忙しなくそこらを駆け回っていた人々が足を止め、無言で立ち尽くしていたのが見えた。

 その誰もが、ある一点を見つめていた。

 その対象はブーンでもなく、ペニサスでもない。皆が二階へ通じる大階段の上を見上げていた。

/ ,' 3「……」

 それは、真紅の絨毯が敷かれた階段の上をゆっくりと降りてくる。

 そのたびに金色の装飾でちりばめられたマントが煌めきを放ち、優雅に揺らめいた。

 皺が刻まれた面持ち。それは衰えとは違う年季と言う名の傷に感じられる。

 その面持ちが、その雰囲気が、その風貌がその全てが存在その物を物語っていた。

/ ,' 3

 VIP国第十代目国王、世界を統べし国の王。

 アラマキ・ホライゾン、その人であった。

( ^ω^)「父上……」

('、`;川「……こ、国王様ぁ」

/ ,' 3「……」

 アラマキが階段を下り終えて皆が居るホールに降り立った。

 それと同時にまるで示し合わせたかの様に群衆ら一斉に裂け、道を一つ形作る。

 天を統べる神が荒海を杖一つで二つに割る。そんな神話が世には存在する。

 今の状況は正にそれ。違うのは、道の先にブーンとペニサスが居る事だけであった。

( ^ω^)「……」

('、`;川「……」

/ ,' 3「……」

 やがて、アラマキは二人の前で歩みを止めた。

 まるで剣の切っ先で突かれる様な厳かな雰囲気が二人を刺す様に包む。

/ ,' 3「……ブーン」

( ^ω^)「……はい」

 ―――――そして


  _∩

  /,'3 ヽ

 ⊂   i「ブーンおかえりなしゃぁぁああぁあい!!!」

 と_ _ノ

   (ノ

('、`;川「な、なんだってェェェェェェッ!!??」

  ( ^ω^) 、「うおー父上ー! モフモフモフモフモフモフモフモフモフ」

 ノつ,'3とノヽーっ 「これ、ブーンやめなさいwww皆が見ておるwww」

と_i ⊃ ⌒_つ

   `ー――""

('、`*川「……」




もうどうにでもな~れ

   *``・*。

   |   `*。

  ,。∩    *

 + ('、`*川*。+゚

 `*。 ヽ つ*゚*

  `・+。*・`゚⊃ +゚

  ☆ ∪~ 。*゚

  `・+。*・ ゚

※尚、上記のAAはイメージ図です


(#)ω^)「な、殴ったねペニサス……! 親父にも殴られた事ないのにー」

/#)' 3「な、殴ったねペニサス……! 息子にも殴られた事ないのにー」

('、`*川「五月蠅いですね。二人で勝手にモフモフしててくださいよ」

(;^ω^)「ち、父上……! ペニサスが怖いお!」

/;,' 3「そ、そうじゃあのぅ……! 儂も怖いぞ……!」

 いつしか周りの人々は空気を察したのか、再度忙しなく動き始めた。

 若干和らいだ空気が周囲の喧騒により、少しずつ張り詰められていった。

('、`*川「あ、そういえば王様……」

/ ,' 3「ひ、ひぃい……! な、なんじゃ?」

('、`*川「あの……この状況から察しますと、やはり祝典は行われるのでしょうか?」

/ ,' 3「……ふむ、勿論。祝典は滞りなく行われる予定じゃよ」

(;^ω^)「で、でも雨が降ってるお! みんな濡れちゃうお!」

/ ,' 3「雨……? はて……今降っておるのか?」

( ^ω^)「何を言ってるんだお! ほらこの通り土砂降りの雨だお!」

(;^ω^)「……お?」

 ブーンは外へと通じる扉を開ける。外は土砂降りの雨、雨水が中に入り込んでくる筈だった。

 だが、そうではなかった。雨水の一滴ですら降ってこない。見れば空は見事な快晴だった。

('、`*川「そ、そんな……今さっきまで雨が……!」

/ ,' 3「ほっほっほっ……晴れたようじゃな。天も儂に味方しておるわい」

( ^ω^)「父上……」

/ ,' 3「……そうじゃ、ブーン。一つ言っておくがの」

 ブーンが振り返った先、アラマキは既にそこにはいなかった。

 周りの群衆に紛れる様に、背中を向け歩き始めている。

/ ,' 3「人には神が定めた運命と言うものがある。それは決して避ける事の出来ないものじゃ」

('、`*川「……」

/ ,' 3「じゃが、抗う事は出来る。運命を避ける事は出来ないが、変える事なら出来るのじゃ」

( ^ω^)「運命を変える……?」

/ ,' 3「そうじゃ。神が定めた運命? それが何じゃそんなもの……みすみす従う必要なぞ無い」

( ^ω^)「おっおっおっおっ……!」

/ ,' 3「目の前に壁が立ち塞がったら、一回ぶつかってみるのも手じゃよ」

( ^ω^)「父上……たまにはいい事言うお!」

/ ,' 3「ま、老人の戯言じゃ。深く気にするでない……そうじゃ、ペニサス」

('、`*川「……あ、はい! 何でしょう!?」

/ ,' 3「お主達、身なりが汚れ過ぎじゃぞ。祝典の前に整えてきなさい」

( ^ω^)「おっおっ……それじゃあついでにお風呂も入ってくるお!」

('、`*川「あ! 王子ったら……口の周りに生クリームまだ付いてますよ!」

(*^ω^)「え……そんな……は、恥ずかしいお……もうお婿にいけないお!」

/ ,' 3「ほっほっほっ、その様子じゃ朝食は食べてきたようじゃな」

('、`*川「そうなんですよ王子ったら! また脱走して……!」

( ^ω^)「おっおっおっ……あ! 父上!」

/ ,' 3「なんじゃ……?」

( ^ω^)「ありがとう、だお。お陰で何かスッキリしたお」

('、`*川「ブーン王子……」

/ ,' 3「ほっほっほっ……そりゃあよかった」


 風が吹いた。

 雨雲が晴れ、青に染まる空。顔を出した太陽が陽気に大地を照らす。

 白金色の城もまた同じ。眩しいばかりの陽光に照らされ、燦々と輝きを放っていた。

 より強く風が吹いた。

 城の庭に植えられた幾つもの樹々が風に煽られ、ギシギシと音を立てる。

 そしてその樹々の隙間から、風に混じって一つの影が入り込んできた。

 とても強い風が吹いた。

 その影は

( ^Д^)

 笑みを浮かべていた。

第二話 FIN


43 : ◆upHA4seHaQ :2007/10/11(木) 01:48:10.62 ID:0bCmZ17BO

第二話終わり。こんな深夜に支援サンクス

今の進み具合をDQ3に例えると母親に叩き起こされた所らへんです。

遅筆過ぎワロタ。それではまた

返信2007/10/16 17:21:09

4midarezakioukamidarezakiouka   ( ^ω^)ブーンは魔法王子のようです 第三話 ~前編~

2 : ◆upHA4seHaQ :2007/10/14(日) 21:58:03.61 id:Cok9UuZlO

第三話『罪と罰と償:前編』

 圧巻だった。

 祝典が行われる会場となる城の中庭。

 この中庭は広大を極めていた。小さな村ならそのまま収まってしまう程だ。

(;^ω^)「ふぇ~……」

 それが今、群衆で満ちていた。百を優に越す人数が決して狭くはない中庭に敷き詰められている。

 そして、その群衆の中には他国の著名人らしき人物らも見当たった。

 この中庭の中にどれだけ人物、どれだけの人数が居るのか。それを想像すると溜息を吐かずにはいられなかった。

/ ,' 3「ふむ……盛況じゃのう」

 傍らからアラマキのユルリとした声が聞こえた。

 黄金の椅子に腰掛け、雄大に構える姿からは威圧感すら覚える。

( ^ω^)「父上」

 いよいよだった。数時間後、正午を持って祝典が始まる。

 それが自分にとって良い事なのか、悪い事なのか。断言する事は出来なかった。

 結局、胸騒ぎは消えなかった。妙な不安感が身を包んでいる。

 ただ、それか逃げる事は決してしないと既に心に決めていた。

/ ,' 3「もう少しで祝典が始まる筈じゃ。楽にして待っておるがいい」

( ^ω^)「はいですお……」

 眼下の中庭を見下ろせば、幾つかの大きい机の上に溢れんばかりの料理が並べられているのが見えた。

 彩色豊かなデザートに鶏の丸焼き。どれもが見るだけで食欲をそそった。

 高い位置に居る自分にも美味しそうな香りが漂ってくる。腹の虫がしきりに鳴るのがわかる。

(*^ω^)「むむむ……」

 早く飯にありつけたい。目の前の料理を食べる時の事を思うと胸が踊る。

 昔から食べる事は好きだった。好きな料理を食べている時は色々な事を忘れられたのだ。

/ ,' 3「ほっほっほっ、お腹が空いたのか?」

( ^ω^)「おっおっ! だって朝御飯そんなに食べてないんだたお!」

/ ,' 3「だらしないのぅ……王族たる者、弱音を吐いては(ry」

/ ,' 3 グ~

(;^ω^)

/*,' 3

( ^ω^)「……お?」

 ふと、違和感に気付いた。何かが足らない気がした。

 側近と言う立場柄か常に傍らにいて、既に自分の半身となりかけている人物。

 いつも存在する人が居ない。と言う事は予想以上に違和感を感じさせるものだった。

/ ,' 3「……どうしたんじゃ?」

( ^ω^)「お……ペニサスがいないおーと思って」

 いつも側にいて構ってくれて、時にはお節介を焼くペニサス。

 そんな彼女がブーンの側に居ないという事は珍しい事であった。

 一応、今も別の側近が何人か自分についてはいるが、彼女が居ないのは珍しかった。

/ ,' 3「……そうじゃのぅ、見当たらないようじゃ」

( ^ω^)「むむむ……ちと心配だお」

/ ,' 3「なんじゃ……さみしいのか、お主」

(*^ω^)「そ、そんな事ないお! け、決してそんな訳じゃないんだから……///」

/ ,' 3「まだまだブーンも子供じゃのう……ほっほっほっ」

(*^ω^)「う、五月蠅いお!」

/ ,' 3「ふむ……それにしてもペニサスも遅いのぅ。祝典が始まってしまうわい」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「……お?」

 遠い空の向こう、地平線を越えた辺りに黒雲が立ち込めているのが遠目で見えた。

 先程まで雨が降っていて、やっと止んだというのに。また降り出すと言うのか。

 変わりやすい天気だった。

 いつもならばそれは取るに足らない事であるが、今日と言う特別な日に限っての不穏な天気。

/ ,' 3「もうじき祝典が始まる。ブーンも何かしら言って貰う予定じゃから、考えておきなさい」

( ^ω^)「……」

/ ,' 3「……ブーン?」

( ^ω^)「あ……あぁ、わかったお」

 妙に何かを勘ぐってしまうのは仕方が無いかもしれなかった。

 立ち込め始めている暗雲、それが自分が感じる胸騒ぎと重なっていくかのようだった。

 今日、何かが起こるかもしれない。自分にとって重要な何かが。

 それは最早確信染みたものに成っていた。

 ペニサスは鼻歌を吹かせながら、風呂場に足を踏み入れた。

 石鹸の香りが鼻をつき、身体中の肌に暖かい空気が纏わりついていく。

('、`*川「~♪」


 中は視界を曇らせる程に白い湯気が充満していたが、それすらも嬉しく思えた。

 ペニサスは風呂が好きだった。綺麗好きななもあるが、それ以上に湯船に浸かるのが好きなのだ。

 お手製の薬を使って仕上げた泡風呂に浸かると、仕事の疲れどころか何もかも忘れられた。

('、`*川「ふふ……」

 湯船に手を入れ、泡もろとも少量のお湯を掬い取る。丁度良い湯加減だった。

 それを確認出来ると、ペニサスの顔から露骨に笑みが零れた。

 茶色に染まった彼女の長い髪がゴムで後ろに縛られ、まず彼女の細く白い生足が湯船入った。

 それから順に上に登っていくかの様に膝元まで浸かり、そして一気に下半身を湯船に潜らせた。

 身体を心地良い感触が緩やかに駆け巡る。

 そのあまりの心地良さにペニサスの口から喘ぎ声にも近い嬌声が漏れた。

('、`*川「あ……んふ……いい湯加減」

 彼女の雪化粧の様に真白い肌がほのかに赤く染まっていく。

 その様には艶めかしさすら感じられた。

 湯が身体に染み込んでいき、それと共に身体がほてっていくのがわかった。

 名残惜しいが、あまり長居はしていられないだろう。

('、`*川「……ふぅ」

 この後は予定がある。それも特別に大事な予定だ。それに遅れる訳にはいかない。

 けど、もう少し。後少しだけ湯に浸かって、心地良い感触を味わっていたかった。

('、`*川「……」

 湯呑みしている時は、物思いに耽る事が多い。

 そんな彼女が思う事と言えば、やはり今日の祝典についてだった。

 彼女は知っている。

 中庭での集まり、それを題したブーン王子の誕生日祝典とは名ばかりだと言う事を。

 本来の目的は別にある。祝日を祝う事よりも、遥かに大切な事が奥には存在する。 

('、`*川「……はぁ」

 溜息が漏れた。何かを胸の内に隠すという事は予想以上に負担がかかる。

 ブーンは胸騒ぎがすると言っていた。ペニサスはその気持ちの正体を知っていた。

 罪悪感が沸いた。真実を知っている自分が彼に言ってあげる事が彼の為になるではないかとすら思う。

 ただ、それだけはしてはならない。ある者と交わした約束事があるからだ。

 お湯に浸かり、十分程もすると身体が芯から暖まってきた。ちょうどよく時間も頃合だった。

('、`*川「……そろそろ身体も洗おうかな」

 おもむろに湯船から身体を起こした。

 少量の泡が身体にこびりつきそれが何ともこそばゆかった。

 そして、そのまま鏡の前に行き椅子に腰掛けた。

 上半身を写し出す程の大きな鏡。蒸気が立ち上ぼっているせいか、その鏡面は曇りきっていた。

('、`*川「えへへ……」

 ペニサスは含み笑いを漏らすと、曇った鏡面に指を走らせた。

 曇った硝子窓に鏡面に絵を書いてしまうのは最早、人間の性分と言えよう。

('、`*川「きゅっきゅゅっ……きゅ~っと」

 指で円を描くかの様に鏡面をなぞっていく。

 途中でその線は急激な弧を描き、曲がりくねったかと思うとその線は最初の点に戻っていった。

 曇った鏡というキャンパスに彼女の指という筆を使い、出来上がったのはハートの絵柄。

('、`*川「えへへー……完成ー!」

('、`;川「……って何やってんだろ」

 湯船から陶器の桶でお湯を掬い取り、曇り鏡にかけた。

 指で描かれたハートの絵柄は洗い流され、綺麗に磨かれた鏡面にはペニサスの上半身が映し出される。

('、`*川「……?」

 その時、最初は目に泡でも入ってしまったのかと思った。きっと、目の錯覚であると。

 だが、違った。目を擦っても、湯で目の周りを流してみても、それは鏡に移っていた。

 影。

 風呂場の壁に寄り掛かる様にし、大きく不気味な影が佇んでいた。

 それは、およそ風呂場には似つかわしく無い異様な光景だった。

('、`;川「ひ……」

 閉じた唇の端から悲鳴が少し漏れた。身体が震え、歯が噛み合わない。

 恐怖のあまりに思わず瞼を畳み視界を閉ざして、それを見ない様にした。

 夢かと思った。そうでなければ幻か何かに決まっている。

 その影を視界に入れた瞬間に背筋に嫌な感覚が覆い被さった。

 喩えるならば、腐った水を浴びさせられた様な薄気味悪い感触。

('、`;川「(お、お化け……?)」

 それは、この世の物とは思えなかった。少なくともペニサスはそう感じたのだ。

 得体の知れないその黒い影からは嫌な雰囲気しか感じられなかった。

 それからどれ程の経過しただろうか。

 それはほんの数秒だったのかもしれない。実際にそれ程しか経過してないだろう。

 しかし、ペニサスにとってその数秒はまさに何時間にも価する様な長い時間に感じられていた。

 得体の知れないものへの恐怖。目を開ける事はためらわれた。

('、`;川「……ん?」

 だが、ペニサスは目を開けた。

 足音が聞こえたからだ。濡れたタイルの上を靴で擦る様な足音。

 それは確かに後ろに居た影が彼女に近付いてきていると言う事に他ならなかった。

 先程までペニサスは恐怖していた。得体の知れない影が知らず知らずの内に側に存在している。

 それは怖がりである彼女にとっては途方もない恐怖だった。実際に恐怖で動く事も出来なかった。

 だが、それが形ある者ならば。

 幽霊や怪物の様に得体の知れないものではないのならば、話は別だった。

 ましてやそれは人の浴場に入り込む様な闖入者。抗わない理由が無かった。

('、`*川「……そこにいるのは誰!?」

 勇気を振り絞り、目を開けた瞬間に後ろを振り返った。

('、`*川「……あれ?」

 だが、そこに影は見当たらなかった。

 先程まで壁に張り付いていた影がたった数秒間の内に消え失せていた。

 足音も聞こえていたのに、それは確かに彼女が居る方向に近付いて来ていたというのに。

('、`;川「……」

 気味が悪かった。まるで影に持て遊ばされているかの様なのだ。

 それの正体が幽霊の類でも、それが闖入者でも、薄気味悪いのは同じだった。

('、`*川「……もう出ようかな」

 既に風呂場にいる気は失せていた。この場にこれ以上居たくはなかった。

 身体を洗うのは夜に回して、今はさっさと出てしまおう。

('、`*川「……」

 そう思い、彼女は後ろに回した顔を前に戻して


( ^Д^)「よぉ」


 鏡面に写る笑顔を見た。

 度肝を抜かれたとは正にこの事だった。目の前にはいつの間にか影が、人の顔があるのだ。

 恐怖を押し退ける様にし、驚きの悲鳴が喉の奥から湧き上がってきた。

('、`;川「き……」

 だが、その後に悲鳴は続かなかった。

( ^Д^)「……おっと、騒がないでくれよ。手荒な事はしたくない」

('、`;川「!! むぐぅ……!」

 その男に手で口を遮られ、彼女の口から悲鳴が叫ばれる事は無かった。

 口に当てられた男の手には妙な感触があった。妙に湿っている。

 濡れた手と言うよりは、手が水その物で形を成しているかの様な感触だった。

 叫びたかった。恐怖を忘れる様に叫びたかった。

 だが、男の手は呼吸を遮らない程度にしっかりと押し当てられていて、それは叶わなかった。

( ^Д^)「いや、すまんな。この城無駄に広いもんだから……迷ってしまって」

('、`;川「……」

( ^Д^)「あ……言っておくが、覗きではないからな。そこはわかってくれ」

 男があまりにも饒舌に話すので、ペニサスは逆に少し安堵してしまった。

 だが、それも一瞬。今度は違う恐怖がやってきた。

 一体、この男は何者なのか。

 黒いボロ布を身に纏い、その間から覗かせる笑みを浮かべた顔の所々に垢がこびりついていた。

 男自身の身体からは水が腐った様な臭い臭いが香る。その様子は貧相な浮浪者を思わせた。

 しかし、警備が敷いてある城に忍び込む事が出来るぐらいの人物。ただの浮浪者では無い事は確かだった。

('、`;川「……」

( ^Д^)「……苦しいか?」

('、`;川「……!……」

 慌てて首を縦に振った。

 男の手はそんなに強く押し当てられていない為、苦しくはなかった。

 だが、ここは嘘をついた方が懸命だと推測した。手荒な事はしない、と男が言っていたからだ。

( ^Д^)「騒がないと約束出来るのなら、手を離してやるが……?」

('、`;川「……! ……!」

 繰り返し首を振った。それとほぼ同時に男の手が離れていった。

 咳き込むのと共に新鮮な空気が肺に入っていく。苦しさに涙が少し頬を伝った。

('、`;川「げほっげほっ!」

( ^Д^)「お前に……聞きたい事がある」

('、`*川「聞きたい事……? 私に……?」

( ^Д^)「あぁ、城の中探したけど人いなくてよ……そこで此処に来た訳だ」

 確かに今現在、城の中には人が殆ど居ない筈だった。

 留守番役として少しの警備の騎士だけを残して、それ以外は祝典が行われる中庭付近に居た。

 それ程までに祝典は大事な催しであるのだが、勿論の事それをこの男は知らない。

 だからと言って、それが人が入浴している風呂場に侵入していい理由には当然の如くならなかった。

('、`*川「何ですか……聞きたい事って」

( ^Д^)「今………この城の中庭にわんさか人が集まっているな」

('、`*川「それは……王子の……ブーン王子の誕生日を祝う祝典だけど……」

( ^Д^)「……それだけじゃ無いだろう?」

('、`;川「え……? 何を言って……」

( ^Д^)「この祝典はただの祝典じゃないんだろう? と、言っている」

('、`;川「……」

('、`;川「……」

 嫌な予感がし、冷や汗が滲み出た。この男は何を知っているのか。

 浮浪者である男が何故、祝典の公にされていない部分を知っているか。

 祝典について知っているのは城の人間のみ。

 そこの何処かから漏れたにしても、不可解極まりなかった。

 この男はそれを知るが為に城に忍び込んだと言うのか。ペニサスにはそうとは思えなかった。

('、`*川「……教える訳ないじゃないですか」

( ^Д^)「……」

('、`*川「第一、それを知ってどうするんです……!?」

 男はペニサスの言葉を受けると、中腰の身体を持ち上げて立ち上がり、ペニサスを見下ろした。

( ^Д^)「やはり、気丈な女だ。流石、王子の側近なだけはあるな」

('、`;川「な……! 貴方、どこまで知って……!」

( ^Д^)「お前はもういい……それに……もう時間だ」

('、`*川「時間……?」

('、`;川「時間って……まさか!」

( ^Д^)「あぁ……そろそろ祝典が始まる時間だな」

 そして、男が笑みを深めると共に

( ^Д^)「質問の続きは……主催者にでも聞く事にするか」

 男の身体が崩れた。

('、`;川「な……!?」

( ^Д^)「……じゃあな」

 氷が溶け落ちるかの様に、男の身体は粘液のそれとなり原型を崩していった。

 それはまるで男が溶解されているかの様に、顔に笑みを浮かべたまま男は溶けていく。

 やがて、その男だった粘液は排水溝に吸い込まれていき、消え失せた。

 風呂場に残されたのはペニサス唯一人となった。水音が虚しく響く。

('、`;川「あの男……魔法使い……?」

 直ぐさまペニサスは立ち上がり、風呂場を飛び出した。

 嫌な予感が確信に変わっていく。それに焦躁感と不安感が混じり合い軽く吐き気を催す。

('、`*川「王様が……王子が危ない……!」

 中庭は静けさに包まれていた。咳払い一つ聞こえない完璧な静寂。

 聞こえるのは小鳥の囀りと、先程から少し降り出した小雨の雨音だけだった。

/ ,' 3「……」

 だが、誰一人として中庭から足を動かす者はいない。

 中庭の上空。城から突出たテラスから中庭を見下ろす様にアラマキが佇んでいたからだ。

 世界を統べる王、この世界で一番権力を持つ人物。

 それが静かに圧倒する様な雰囲気を出して見据えているとならば、皆が無言で彼を注目する他無かった。

( ^ω^)「……」

 一方、ブーンは複雑な心境だった。

 祝典が始まる時間になり、アラマキはテラスの端にある立ち台に進んだ。

 自分に対しての祝いの言葉でも飛び出すのかと思ったが、違った。

 反対にアラマキからは厳かな雰囲気が醸し出された。只事で無い事が否応にも身体で感じ取れた。

 これから何かが起こる。

 少なくとも祝い事に関する事では無い事が、アラマキによってもたらされる。

/ ,' 3「皆、この度の祝典。よくぞ集まってくれた」

 静かにアラマキは語り出した。その声は低く、そしてよく通った。

 中庭の隅々までとはいかないが、充分に皆が聞こえるであろうレベルの声だった。

/ ,' 3「……儂には謝りたい事がある」

(;^ω^)「……!!」

 その言葉にブーンを含め、中庭にいるほぼ全員が驚いた。

 内容はどんなものにせよ、一国の王が謝罪の言葉が述べると言うのだ。

 皆が驚きを隠せない。中庭の群衆はざわめき始め、騒がしくなってきた。

/ ,' 3「本日の祝典……我が息子、ブーンの誕生日を祝う取り決めじゃったが……それは後回しとさせて貰う」

(;^ω^)「お……」

/ ,' 3「ブーンよいか? すまないが……」

(;^ω^)「お……大丈夫だお!」

/ ,' 3「ふむ……」

/ ,' 3「これから話す事は紛れもない真実であり、汝らにはそれを受け止めて欲しい」

 雨が降り出していた。

 城の周りの上空を渦巻く様な黒雲から、打ち付ける激しい雨が降り注いでいた。

 雨雲の中でゴロゴロと響く雷鳴の音が、更なる雨の強まりを予感させていた。

 だが、しかし。

 この場にいる群衆は根が植えられたかの様にその場から動かない。

 全身が濡れてしまっても、皆は示し合わせたかの様に演説するアラマキを見据えていた。

 皆、感じ取っていた。

 これは聞かなくてはならないという事を。

/ ,' 3「それには少し昔話をしなくてはならんがの……」

 かつて、ホライゾン家が代々治めるVIP国は小国だった。

 数ある大国に比べても規模や質と共に明らかに劣っていたのだ。

 原因はVIP国を取り囲む様にし、名を連ねる数々の大国の存在。

 VIP国は百年余りの歴史を通しても、決して自ら戦おうとはせず自国を潰さない様に努めていただけであった。

/ ,' 3「儂ぐらいの年齢のものなら知っておるじゃろう……かつて我が国は小さかった」

 そんな中、VIP国に一人の赤ん坊が生まれた。

 後に国王としてVIP国を治め、そして後に全世界を治める事となる存在。

 アラマキ・ホライゾン。子宝に恵まれない親の元、彼は唯一生を授かった。

/ ,' 3「……儂が生まれた時は正に戦の時代じゃった。と言っても迎撃の戦じゃがの」

 アラマキが生まれた時、VIP国は戦禍の炎に燃やされていた。

 海と山に囲まれた良い環境を狙ってか、隣国ヤオイが攻め込んで来ていた。

 日に日に傷付いていく民と国。いつ自らの命が脅かされるかもしれないという恐怖。

 VIP国は正に風前の灯火であった。

/ ,' 3「そんな時代じゃ、王子であった儂じゃが……戦に出るのは必然だった」

 国を守るが為に、民を守るが為に。

 VIP国の民は徴兵令が敷かれ、成人となった男子は皆、兵として戦に駆り出された。

 何かが狂っていた。国を守るが為に、その国の民が死んでいく。

 この時、VIP国において唯一の戦乱の時代。

 この時代に生まれた自分の運命を呪わなかった人間が居ただろうか。

 そんな中、アラマキが戦に将として初陣を飾ったのは僅か十五歳の時だった。

/ ,' 3「儂が戦に出たのは……そうちょうど今のブーンぐらいの時じゃ」

( ^ω^)「……」

/ ,' 3「その時と比べて、今は平和になったもんじゃ……実に喜ばしい」

 アラマキは雨に打たれながら見上げる群衆を舐める様に見下ろした。

/ ,' 3「今、ここにいる者……百はいるじゃろうな。その内の何人が戦を経験したじゃろうか?」

 今、現在世界を通して大規模な戦争は起こっていない。

 それも今や世界一の大国であるVIP国が戦を禁ずる平和条約を全世界と協定したからである。

 それが三十年程前。つまり、今生きる子供達は戦乱の時代を全くもって知らないのだ。

/ ,' 3「儂は敵兵を殺した。何人も、何百人も殺した。それが将の……いや、兵の勤めじゃった」

 圧倒的物量を持って襲いかかるヤオイ国の軍。VIP国は防戦に回らざるを得なかった。

 否、それは最早防戦でもなかったかもしれない。

 ただ、敗北と言う名の死を伴う崩壊の迫りくる速度を緩やかにしていただけだった。

 森の中で燃え盛る炎は風に流され樹々に燃え移り、緩やかに森は燃えていく。

 VIP国という森は、ヤオイ国という炎に燃え焦がされるのをただ待つのみであった。

/ ,' 3「剣で頭を貫き、抉った。返り血の感触と味は今でも覚えておるよ」

 何回、剣を振るっても。戦は終わらない。

/ ,' 3「敵と仲間の屍を踏み締め、儂は生きた。生きなければならなかった……それが将である儂の責務じゃった」

 何体、屍を踏み締め乗り越えても。戦は終わらない。

 戦はいつまでも続いた。日に日に周りから人が消えていった。

 感じるのは絶望と死への恐怖。剣を振るわなければ、人を殺さねば自分が殺される世界。

/ ,' 3「難しいだろうが想像して欲しい。数分前まで横を駆けていた人間が、いつの間にか後ろで死体になっている事を」

(;^ω^)「……」

 皆が押し黙っていた。強まっていく雨の中、誰もが無言を貫く。

 黙っている理由はそれこそ人それぞれだろう。

 アラマキの話しに聞き惚れてる者。呆れ返っている者。昔を思い出し共感する者。

 だが、しかしその誰もが無駄な合の手を挟み、話を途切れせる事はしなかった。

 まるで親に絵本を読み聞かせて貰う子供の様に。

 中庭に居る誰もがアラマキの話を黙して素直に聞いていた。

/ ,' 3「そんな戦の中で、儂は平和を望んだ。誰よりも強く、絶対な平和を望んだ」

 それを喩えるならば、闇だった。

 一寸先も見えない闇、手探りで進む事すら叶わない。

 どうする事も出来ない。ただ、その場に立ち呆ける事しか出来ない。

/ ,' 3「儂は望んだ。闇の中で光を……平和と言う名の光を強く望んだ」

 だが、その望みは届かなかった。

 アラマキが三十の頃。

 VIP国はヤオイ国の大軍に押し切られ、遂には残りが数百の本軍だけとなった。

 VIP国の敗色が濃厚となった。その時は神さえもそう思ったであろう。


 遂には、アラマキ及びVIPの本軍はヤオイ国の大軍に襲撃された。

 襲いかかる敵兵の群れ。目の前に死体が詰まれていき、断末魔が至る所で飛び交った。

/ ,' 3「……とうとう儂の護衛も突破された。儂の頭に剣が振り下ろされるのが見えたよ」

 地面の砂を舐め、血反吐を口の中で咀嚼した。立ち上がる気力も既に無かった。

 突き付けられた敗北。切り傷により流れ出る血と共に、何かが身体から抜けていく気がした。

 アラマキはその時、実感した。自分はもうすぐ死ぬの身なのだと。

/ ,' 3「……」

(;^ω^)「お……?」

 保たれていた静寂が破られた。

 中庭でアラマキの話を聞いていた群衆は口々に騒ぎ立てる。

 長い間、語り続けていたアラマキが突如口を閉ざしたからだ。

 皆は何事かと思っただろう。

 話の腰を折るまいと静寂を保ってきたのに、語り部の方が口を閉ざしてしまうとは。

/ ,' 3「……」

 アラマキは神妙な面持ちで目の前の虚空を見据えていた。

 それは何かを考えている様であり、何かを思い返しているかの様にも見えた。

(;^ω^)「……父上?」

/ ,' 3「……あぁ、大丈夫じゃ。ちと考え事をしておっての」

 その時のアラマキは何を思っていたのだろうか。息子であるブーンにもそれはわからなかった。

 それは目の錯覚だったのかもしれない。ただ、ブーンはそれを見た。

 雨に打たれ全身に水を滴らせるのに紛れて、アラマキの頬に一筋の涙が伝った様に見えたのだ。

 直ぐにそれは雨水に流され、それが見えたのはほんの一瞬だった。

 次の瞬間にはアラマキの顔付きは戻っていた。雄弁に物を語る厳つい顔付きへと。

/ ,' 3「……これから話す事は皆にはとても信じられない事かも知れない」

 真実を話す時が来た。

 いずれ話さなくてはならないと思っていてた。そして、やっと決心が着いた。

/ ,' 3「じゃが、これだけは信じて欲しい」

 それはまるで運命に導かれる様に。

 歯車は音を立て回り始める。今この瞬間を持って世界の運命は動き出す。

 アラマキ・ホライゾンの手によって。

/ ,' 3「儂が何者にせよ、儂がアラマキだと言う事を……儂がVIP国を治める王だと言う事を」

( ^ω^)「……」

 今、この場にアラマキへの否定の言葉を口にする者は誰一人としていなかった。

 アラマキの言っている事を、そしてアラマキ自身を皆が認めていたのだ。

 それが真実だとしても、そうではないにしても。

 それ程までに彼の吐く言葉には重みが、そして責任が存在していた。

第三話 前編 FIN

返信2007/10/16 17:29:10

5midarezakioukamidarezakiouka   ( ^ω^)ブーンは魔法王子のようです  第四話 ~後編~(第3話の続きです)

91 : ◆upHA4seHaQ :2007/10/14(日) 22:48:59.76 id:Cok9UuZlO

第四話『罪と罰と償:後編』

/ ,' 3「突然じゃが……皆は――――魔法という言葉を聞いてどう思うだろうか?」

(;^ω^)「!!!」

 皆が騒然とした。

 あまりにもその言葉には脈拍が無さ過ぎた。その言葉は今には関係無いと誰もが思った。

 絵本や物語の中で描かれる様な空想の産物、それが魔法。

 それが何故、今アラマキの口から飛び出したのか。理解出来る者はいなかった。

/ ,' 3「学者の行う錬金術。鍛冶師の技術も、また魔法と言えるじゃろう……だがそれとは違う」

(;^ω^)「……」

 ブーンだけが焦躁していた。この場に居る聞き手の中で唯一、それを知る者。

 それを知るが故に信じられなかった。

 それは、今迄の間ずっと直隠しにしてきた事実。

 それを今世界中の人間が後々に知る事になるであろうこの場で言ってしまうと言うのか。

/ ,' 3「異質の力。炎を生み出し、嵐を呼び起こす……それが魔法」

(;^ω^)「父上……父上ッ!!」

/ ,' 3「そんな力が世には存在する事を……儂は知っておる」

「――――少し御待ち頂きたいッ!」

 突如、アラマキの話しに割って入る様に怒号が響いた。

 その怒号を発した人物を中心に群衆の視線が一斉にアラマキからそれに移り変わる。

 殆ど人間が驚愕し、息を飲んだ。

 それは、自らを目立たなくする為の配慮か紺色のローブを頭から目深に羽織っていた。

 皆から視線を受けたのを合図の様に、そのローブを首周りに下ろす。

 雨雲に陽光が遮られ薄暗い中、その男の顔が露になった。

(´・ω・`)「少し……御待ち頂きたい」

(;^ω^)「貴方は……!!」

(´・ω・`)「話の腰を折った無礼を御許し頂きたい。しかし……よろしいか」

 以前VIP国との戦にて敗れた大国、ヤオイ国。それの現国王の長男、ショボン王子であった。

 ヤオイ国の現国王のアベ・ヤラナイカが病に伏せっている為、殆ど国王と言ってもいい存在。

 それが、天敵とも言えるVIP国の城に居る。それも祝典に出席している。

 有り得ない事だった。誰もが我が目を疑った事だろう。

 だがしかし、ショボンは自分が夢や幻などでは無い事を証明するかの様に。

 群衆を掻き分け、それらより一歩前に出た。

/ ,' 3「これはこれは……ショボン王子ではありませんか」

(´・ω・`)「お久し振りで御座います。……あの時以来ですね」

/ ,' 3「何をまぁ……貴方程の御方でしたら特別な席を設けましたのに」

(´・ω・`)「勝手ながらそれを出来ない理由があった。

       故に忍び込む様な真似をしたが……御許し頂きたい」

 ショボンはテラスから見下ろすアラマキを見上げた。

 その眼差しに込められていたのは冷たい敵意。降り頻る雨をも凍る気がした。

(´・ω・`)「昔、我がヤオイ国は貴方達……VIP国に負けた

       しかし、私はそれが信じられなかった。弱い国我が国が負けるなど」

/ ,' 3「……」

(´・ω・`)「ある日、私は父上に尋ねたよ……『何故我が国は負けたのですか?』と」

(´・ω・`)「……そうしたら父上は何て言ったと思う?」

 ショボンの肩が僅かに震えた。

 その震えが単に雨で冷えたものか、悲しみによるものか、それとも怒りによるものなのか。

 誰にもわからなかった。

(´・ω・`)「『私達は魔物を相手にした、私達人間が魔物に勝てる訳が無かった』」

(;^ω^)「ば、化物だって……!?」

(´・ω・`)「聞くと、VIP国の兵士は『ある時』を境に死ななくなったそうだ。

        剣で斬っても、弓矢で穿いても、まるでゾンビの様に蘇ってきた……とか。

        後は簡単だ。我が軍だけか数が減っていくだからな……ヤオイ国は負けた」

/ ,' 3「……」

(´・ω・`)「そう、それはまさに……魔法の様だったらしい」

 そのショボンの言葉を境に、誰もが口を閉じた。

 誰もが口を開けずに居た。

 そして、また一度ショボンが吠えた。

(#´・ω・`)「だが、そんな物信じられるかっ!!!

        魔法!? そんな訳のわからぬものにヤオイ国は天下を逃したと言うのか!?

        私は信じないっ!! 誇りあるヤオイ国がその様なものに屈したなど!!」

(#´・ω・`)「生まれてこの方、私は貴方……アラマキ・ホライゾンに敵意を持ちながら生きてきた。

        今日、私がこの場に居るのもその憎き相手をこの眼で見ておきたいと思ったからだ」

/ ,' 3「もうやめい」

(#´・ω・`)「だが何だ!? 我が国の失態を長々と連ねたと思ったら、魔法だと?

        私は信じないぞ! そんな馬鹿げた事など――――」

/#,' 3「もうやめいっ! 黙るんじゃっ!!」

(;´・ω・`)「つ……!」

(;^ω^)「あの父上が怒鳴った……!」

 アラマキ・ホライゾン国王は寡黙で温厚人物とされてきた。

 事実、息子であるブーンもそう思っている。声を荒くする事など考えられなかった。

 そんなアラマキが感情を露にする事などこの場の誰もが未だかつて見た事が無かっただろう。

/ ,' 3「……お主の言いたい事はわかる。じゃが儂は言った筈じゃ。

    これから話す事は、事実であると。……お主は事実から目を背けているだけじゃよ」

(´・ω・`)「……」

/ ,' 3「ならば証明して見せよう。それがお主含め、その周りのいる者達の為にもなるじゃろ」

(´・ω・`)「……証明?」

 アラマキの居るテラスから何かが投げ落とされた。

 それは風を斬る様な音を鳴らしながら落ちると、地面の芝とぶつかり微かな金属音を掻き鳴らした。

(´・ω・`)「これは……」

 ショボンの少し手前の芝生に落ちた塊。それは雨に濡れ、僅かに光沢を放つ。

 それは弓矢だった。鋼鉄で出来た弓と一本の矢。

(´・ω・`)「弓矢……それもなかなかの業物のようですね」

/ ,' 3「……それで儂を射るが良い」

(;´・ω・`)「なっ……!」

/ ,' 3「たった今、お主が殆ど言ってしまったがのう。

    儂は魔法使いじゃ……詳しくは言えんが、魔法を使いVIP国に勝利をもたらした

    儂が魔法を使えば、その弓矢で眉間を射抜かれたとしても死ぬ事は無いんじゃよ」

(;^ω^)「ち、父上何を言ってるお! 冗談は止めてくれお」

/ ,' 3「ブーン、大丈夫じゃ。儂を信じてくれんかのぅ」

(;^ω^)「父上っ!!」

(´・ω・`)「……私は貴方を憎んでいる。悪いですが、外しませんよ」

/ ,' 3「願ったりじゃ、それで証明は成されるのじゃからな」

(´・ω・`)「……減らず口は御上手のようだ」

 ショボンは芝生に落ちた弓矢をおもむろに、手に取った。

 そして、弓の弦や矢に付いた雨水を軽く拭き取ると、静かに構えた。

 ゆっくりと、矢先がアラマキに向けられる。

 よく研がれた矢先は何物をも刺し貫ける様に、鋭く尖っていた。

(;^ω^)「やめ……やめるお……」

 その場の誰もが二人の凶行を止める事が出来ただろう。だが、それはしなかった。

 その様があまりにも劇の様であり、観客気分の群衆は無粋に舞台に上がる事をためらったのだ。

 皆が固唾を飲んで二人を見守る事しか出来なかった。

 ショボンの矢尻を掴んだ手が後ろに引かれ、弦が張り詰めていく。

 それと共に辺りに立ち込めるは、殺気。ショボンよりアラマキへと送られる殺意。

(;^ω^)「お……お……」

(´・ω・`)「……」

(;^ω^)「やめるおぉおおぉーっ!!!!」

(´・ω・`)「――――」

 そして、ショボンの手が放される。

 弦が震える音、そして風を斬る音が鳴った。

 矢の形に凝縮された濃い殺意が、空気を切り裂く。

 そして、それはまるで何かに導かれる様に。

/ 。゚ 3「――――!」

 アラマキの眉間へと吸い込まれていった。

 矢は眉間から頭の頂点を抜けて貫通した。

 林檎が潰されたかの様な軽く鈍い音がする。

(;゚ω゚)「父上ェェェェェェッ!」

 弾けた様に血飛沫が上がる。

 それを合図の様に、辺りから断末魔の様な叫び声が飛び交う。

 まるで合奏曲を謳う様に積み重なる悲惨なる叫び声。祝典は地獄に変わる。

 そして、皮肉にも。

 その叫び声の合唱を止めたのは。

/ 。゚ 3「『光よ、命と成れ』」

 矢で射抜かれ、絶命する筈のアラマキの言霊だった。

 その瞬間を見た者はいなかった。皆が目を閉じてしまっていたからだ。

 アラマキが何かを呟いたかと思うと、アラマキが光に包まれたのだ。

(;´・ω・`)「―――つっ!?」

(;^ω^)「―――おっ!?」

 網膜が焼け尽くされる様な閃光。それを感じた人間の身体は反射的に目を閉じる。

 だがしかし、瞼を閉じて尚、眩しく感じる程その閃光は強いものだった。

 やがて、一分程の時間が経過した。

(;^ω^)「お……? おっおっおっ?」

 目をやられて視界を閉ざしていたブーンはやけに騒がしい事に気付く。

 アラマキが射抜かれた時の様な叫び声の応酬の様な騒がしさではない。

 目尻にうっすらと溜まった涙を拭うと共に、ゆっくりと目を開ける。

/ ,' 3「……」

( ^ω^)「……父上」

 そこには生きているアラマキが居た。眉間に刺さった矢は右手に握られている。

 その矢の刃先からは刺さっていた事を証明する様に、血が滴り落ちていた。

(´・ω・`)「……はは」

 ショボンは力無く腕を落とし、弓矢を手放した。嘲笑うかの様に金属音が響く。

 その顔は笑っていた。感情が一切込められていない虚無の笑みだった。

( ^ω^)「……」

 ブーンは胸を撫で下ろすと共に、複雑な心境になった。

 ブーンはアラマキが魔法を使える事を知らなかった。それを知らされていなかった。

 世界で自分だけが扱えると思っていたのだ。

 だが、それは違った。同じ仲間が居ると言う親近感はブーンを歓喜させる。

/ ,' 3「……これで信じて貰えただろうか? 魔法の存在を……魔法使いの存在を」

(´・ω・`)「……」

 皆が黙っていた。それは無言の肯定だった。

 中には否定や嫌悪の感情を抱いた者もいただろう。

 しかし、それを目の前で行われてしまっては信じる他に無かったのだ。

/ ,' 3「……ここからの話は儂の懺悔となる。

 儂の犯した罪を聞いて貰いたい。そしてそれについて知って貰いたい」

(´・ω・`)「懺悔……だと?」

/ ,' 3「如何にも。儂はずっと罪を告白したかった。

    戦を終え、罪を犯してから十五年……儂は懺悔をする為だけに生かされてたのかもしれんの」

( ^ω^)「お? 十五年……」

 その言葉が嫌に引っ掛かった。十五年、丁度それはブーンの年齢と同じだった。

 そして、今日はブーンの十五回目の誕生祝典。それに重なる場でのアラマキの懺悔。

 偶然にしては出来すぎだった。

 もしや、自分とアラマキの懺悔が関係あるのではないか。その疑念が生まれる。

(;^ω^)「……」

 そして、ブーンは気付いた。いや、思い出した。

 胸騒ぎがまだ消えていない事を。アラマキの魔法、胸騒ぎの正体はそれかと思った。

 だが、違った。昔より胸の中に燻りし胸騒ぎは少し足りとも消えていない。

/ ,' 3「儂には子供がいる。そこに居るブーン」

( ^ω^)「……」

/ ,' 3「そして――――それとは別に、十二人……ブーンを含めて『十三人の子供達』が」

(;´・ω・`)「なっ……!」

(;^ω^)「な……な、何を……!」

( ゚ω゚)「―――――何を言ってるんだお父上ェェッ!!!」

/ ,' 3「ブーン……黙っていてすまんのぅ。お主には……弟が妹がおるんじゃ」

( ゚ω゚)「嘘だお……ブーンは一人っ子だって……ずっと……」

/ ,' 3「騙していた事を許して欲しい。じゃが、これは決して冗談などではない。

    最初に言ったじゃろう? 儂が話す事は真実じゃと」

( ゚ω゚)「なら! ブーンの兄弟達はどうしたんだお! 何処に居るんだお!」

/ ,' 3「……」

( ゚ω゚)「黙らないでくれお……話してくれお! 父上!!」

/ ,' 3「それを……これから話す所じゃ。儂の決して許されぬ罪をな」

( ゚ω゚)「……」

/ ,' 3「皆も聞いて欲しい。そして国に帰ったら家族にも友人にも話して貰いたい

    全世界に儂の罪を知って貰う事が……儂の罪を償う方法なのじゃよ

    儂にはそれしか出来ない。笑ってくれても構わない、仮にも一国の王はこんなにも無力なのじゃ」

( ゚ω゚)「何があったんだお……父上は何をしたんだお……!」

/ ,' 3「……昔々の話じゃ」

 昔々、ある所にある王国がありました。

 その王国は世界を一つにし、そのお陰で世界中の人々は皆、平和に暮らしていました。

/ ,' 3「儂は全世界と平和協定を結んだ。戦を無くしたかった、平和が欲しかったのじゃ」

 その王国には一人の王様がいました。

 その王様は生まれつき、不思議な力を持っている魔法使いでした。

/ ,' 3「魔法は子供の頃より使えた。それは突然変異なのか、神の導きなのかはわからん

    そして、その力が『ある時』を境に強さを増した。それを使い、儂はVIP国に勝利をもたらしたのじゃ」

 王様は考えます。

 普通の人間には使えない魔法。使いようによっては、人々の役に立つ事の出来る力。

 自分の代でそれを終わらせるには惜しい。

 王様はそれをより多くの人に知って貰いたい。使って貰いたいと思ったのです。

/ ,' 3「考えてみれば何と間抜けであった事か……人の理を逸脱する事に何の意味があろうか

    儂は力に溺れていた。平和を手に入れた事で、自分を見失っていたのじゃよ」

 後に、王様は王妃との間に十三人の子供を授かりました。

 そして、その十三人の子供は皆、王様と同様に不思議な力を持っていたのです。

/ ,' 3「その内の一人がブーン……お主じゃな

     星の魔法使い……ブーン・ホライゾンよ」

(;´・ω・`)「ブーン王子も……魔法使い……」

( ^ω^)「そうだお……僕も……魔法使いだお」

 全ての人間の視線がブーンに集中した。それは最早、尊敬の眼差しでは無かった。

 何か違う物を見る目。それに、ブーンは気付けないでいた。

/ ,' 3「十三人の子供……皆、可愛かった。側に置いていたかった」

 しかし、その時――――大変な事が怒りました。

 その子供達の力はあまりにも巨大で、危険なものだったのです。

/ ,' 3「儂が気付いた時には……全てが遅かった」

 十三人の子供の力、それは次第に重なり合い強くなっていきます。

 大地は割れ、天空は渦を巻き、雷鳴が轟き、大海は荒れ狂いました。

/ ,' 3「覚えているものもおるじゃろう……後に『神の断罪』と言われた日じゃ

    死んだ者も大勢おるじゃろう……あれは儂が引き起こしたものなのじゃ」

(;´・ω・`)「お、覚えてるぞ……この世界も終わりかと思った!

        だけど……! 確か、それは直ぐに収まったんだ!」

(;^ω^)「何で……だお……?」

/ ,' 3「それが……それこそが儂の罪なのじゃ」

 このままでは人々の平和が脅かされるどころか、世界が滅んでしまうでしょう。

 このままではいけない、そう王様は思いました。

 王様は悩んだ末に、その子供達を世界中の何処かに捨てる事にしました。

(;´・ω・`)「なっ……!?」

( ゚ω゚)「……え?」

/ ,' 3「……世界中のあらゆる場所に捨てた。ちょうど世界中に散らばる様にのぅ

    里親を探す事もしなかった。それをする余裕が儂にはなかったのじゃ」

( ゚ω゚)「何故……だお……何でそんな……」

/ ,' 3「……」

 皆が集まれば世界を滅ぼすかもしれない子供達。それを引き離せば、世界は滅ばすに済むかもしれない。

 そう考えたのです。

 案の定、地響きもやみ、嵐も収まっていきました。

 このまま滅んでしまうかに思えた世界。それは辛うじて救われたのです。

 そして、その王国には一人の少年が残りました。

/ ,' 3「それがブーン……お主じゃよ」

( ゚ω゚)「そ……んな……」

/ ,' 3「……今迄、黙っていて本当にすまなかった」

 アラマキは静かに頭を下げた。

 それはブーンに向かってしたものだったのか、それとも世界中の人間に向けたものだったのか。

 恐らく両方だろう。

 世界の頂点に立つ男が頭を下げて謝罪の言葉を述べた。

 それがどんなに重い事なのか。どんなに辛い事なのか。

( ゚ω゚)「あ……ああ……」

( ;ω;)「ぁあぁぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!!!!!」

 ブーンは泣いた。腹の底から空気を搾り出し、それを全て叫び声に変えた。

 脳は壊れた様にしきりに、絶え間無く悲しみという感情を身体に送る。

 膝を折り、地に向けて哀しみの涙を落とした。それはいつしか水溜まりとなった。

 それでも尚、ブーンが泣きやむ事は無かった。



( ;ω;)「ブーンだけがおめおめとここにいるのかお!

       ブーンの兄弟達は何処かも知らない所に捨てれたと言うのに!」

/ ,' 3「……ブーン」

( ;ω;)「嫌だお! ブーンはそんなの嫌だお! こんな……こんな!」

/ ,' 3「……ブーンやめておくれ」

( ;ω;)「こんな思いをするぐらいなら生まれてこなければよかったお!

       何で! 何の為に僕を生んだんだお!!!」

/#,' 3「ブーン!! やめい!」

( ;ω;)「……」

/ ,' 3「頼むからやめておくれ……自分を責めるなどという事は

    何の為に生まれてきたじゃと……ブーン、子供を生むとはそういう事じゃないんじゃ

    理由なんて無い……ブーンも、他の兄弟達も掛け替えのない家族なんじゃよ」

( ;ω;)「父上……」

 雨が降っていた。まるで涙を洗い流すかの様に。

 ブーンは突き付けられた現実を受け入れられないでいた。

 その事実はあまりにも衝撃的で、あまりにも哀しかった。

 それを受け入れるにはもう少しの時間が必要だった。

 雨足が強くなってきていた。身体を打ち付ける雨が痛く感じる程に。

 それは、後世にまで語り継がれるであろう重大な祝典だった。

 異常なる力を持つ王族、ホライゾン家。その王族が統べているこの世界。

 これからこの世界は動いていくのだろう。歴史は動いていくのだろう。

/ ,' 3「……」

( ;ω;)「……」

 静寂なる雰囲気。皆が話の終わりを予感していた。

 アラマキも、ブーンも、そう思っていた。祝典の名を借りた懺悔はこれで終わるのだと。

 だが、違った。

 終わりなどではない。むしろこれから、それは始まるのだった。

「はは……」

 それは、一つの笑い声から始まった。

(´・ω・`)「ははは……はははははははははははははははははははは」

(;^ω^)「……!?」

 それは、ショボンだった。不意に気が狂ったかの様に笑い出したのだ。

 きっと、実際に狂っていただろう。その不気味な笑い声は正常なるものでは決してなかった。

(´・ω・`)「はは……ははははは……」

(;^ω^)「……ショボン王子?」

(´;ω;`)「ははは……何が魔法だ……何が魔法使いだ……」

 その時、不意に辺りが閃光に包まれ轟音が鳴った。近くで雷が落ちたのだろうか。

 耳を劈く程の雷鳴。それを受けて尚、ショボンは泣きながら笑い続けていた。

(´;ω;`)「世界を滅ぼす程の力? そんな力が持った奴が沢山いるだと?

        ははははは……終わりだよ……この世の終わりだよ……ははははは」

(;^ω^)「ショボン……王子……」

(´;ω;`)「ははははははははははははははははははははははははは!」

/ ,' 3「お、落ち着くんじゃ……自分を見失うでない……」

(´;ω;`)「五月蠅い!!! 黙れ黙れ黙れェェ!!!!!

        わかっているのか!? お前らも……周りで阿呆面で突っ立っている奴等もわかっているのか?

       こいつらは……ホライゾン家は人間じゃない!! こいつらは……こいつらは!!」




(´;ω;`)「――――化物だ!」




 ――――化物だ。

 そうショボンは言おうとしたのだろう。

 そんな呪われた言霊を吐こうとしたのだろう。

 だが、それは成されなかった。

 その言葉は

( ゚ω゚)「――――お」

 突如、鳴り響いた雷鳴にかき消される。

 紫色の稲妻が全てを飲み込んだ。何もかも、呪われた言霊も。ショボン自身も。

 天空より落とされた一つの稲妻。それは他でも無い、ショボンの身体に落ちていった。

(´ ω `)「――――」

 大気が震えた。空間が爆発した。その稲妻はその場の全てのものを喰らった。

(;゚ω゚)「……」

 我が目を疑った。ほんの目の前、目と鼻の先で落雷が起こったのだ。

 地面が焼ける感触が、大気が爆ぜる感覚が、雨が痺れる音が肌で感じられた。

 それは、ほんの一瞬の出来事だった。瞬きする程の刹那の出来事だった。

 その一瞬で何もかもが終わった。誰もがどうする事も出来なかった。

 雷鳴の閃光に目を眩ましていたブーンが何とか目を開けて見た眼下の光景。

 それは地獄絵図だった。

 足が震え、腰が抜けた。頭が真っ白になり、何も考えられなくなった。

 感じるのは恐怖。精神を蝕み壊す程の圧倒的な恐怖。

( ゚ω゚)「あ……あぁあ……あぁああぁあ……」

 稲妻に感電したのか。中庭の群衆は皆、地面に伏せていた。

 身体から煙を吹かせ、ある者は炎に包まれている。息があるのかすらもわからない。

(´ ω `)「――――」

 そして、その横たわった群衆の身体の群れの一歩先にはショボンがいた。

 否、それは最早ショボンではなかった。黒い塊。焼け焦げて炭と成り果てた死体。

 しきりに痙攣し、穴という穴から体液が漏れている。肉が焼ける特有の匂いが辺りに充満していた。

( ゚ω゚)「お……お……お前は……!」

 その焼け焦げたショボンの傍ら。それを踏み付ける影があった。

 そこに雷鳴が落ちたと言うのに、その影はそこに存在していた。

 黒いボロ布に身を包み、死体と成り果てたショボンを下衆な笑みで見下ろしている。

 そして、その影はブーンに気付くと、ゆっくりとその顔を上げた。


「化物たぁ……酷い事言うよな。

 それを平気で言える方が化物……そうだと思わないか?」





( ゚ω゚)「お……ぁ……まさか……まさかお前は……!」





( ^Д^)「なぁ、ブーン王子様――――いや、兄さん」

第四話 FIN

返信2007/10/16 17:39:09