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13jigendaddyjigendaddy   ('A`)ドクオが生きるという事について考えるようです-12

http://ex17.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1163683883/

2 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/16(木) 22:32:40.78 id:MtY97iY70

 明けない夜はない、と誰かが言っていた。
例え、それがどんなに罪深い夜で、人生においての
価値観を大きく変えるものであろうとも朝は必ず訪れる。
俺にも例外なく、長い夜は明けて朝はやって来た。


目を覚ますと嗅ぎなれない部屋の匂いがして、
次いで見慣れない光景が目に映った。
意識はやけにはっきりしていてここがどこなのかはすぐに分かった。

 ツンとブーンとその娘が住んでいた家だ。


4 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/16(木) 22:34:57.90 id:MtY97iY70
 傍らにツンの姿は無かった。
ゆっくりと身を起こして間抜けに部屋の辺りを見渡す。
台所の方から料理をする音が聞こえて食欲をそそる
玉子料理らしいものの匂いが漂ってくる。


「おはよう。」

 台所に顔を出すとツンはいつもと同じ優しい表情で朝食の準備をしていた。

「あぁ、おはよう。」

挨拶を返し、テーブルに腰掛ける。
ツンがコーヒーと新聞を運んでくれた。

5 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/16(木) 22:35:49.18 id:MtY97iY70

「ん?新聞?」

「ドクオ、新聞読んでないの?」

「あぁ。」

 一人暮らしをしているから、というのは言い訳になるが
俺は普段から新聞を読まない。
ライブドア事件にせよ、首相が変わったと言われても
ナニソレ?と返す社会の流れに疎い人間はこうして生まれたわけだ。

「新聞くらいは読んで世間の流れを把握しとかなきゃね。」

 ツンは俺の額を軽く人差し指で突付き、クスクスと笑う。
ブラック派の俺には少し甘めのツンが淹れてくれたコーヒーを
すすりながら何の気なく新聞を眺める。
そう言えば、新聞を見るのもどれだけぶりだろうか。
少なくとも一年と少しは新聞なんて見向きもしなかった。

6 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/16(木) 22:36:32.27 id:MtY97iY70

「なぁ。」

「なぁに?」

 料理をする手を止めず、背を向けたままツンが返事をする。

「ブーンってさ、毎朝新聞読んでたか?」

 キュッと蛇口を回して水を止め、

「その日によりけりかな。
 早起きした日には読んでたけど
 遅めに起きだした時は読んでなかった。」

食器棚からお椀と少し大きめの皿を取り出しながら答えてくれた。

「そっか。」

少し気のない返事を返して新聞をテーブルに置いてツンの手伝いをする。

「ありがとう。」

 綺麗な笑顔だったが、何故かツンを直視出来なかった。

7 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/16(木) 22:39:14.46 id:MtY97iY70
テーブルの上には炊き立てのご飯が惜しげなく盛られたお椀に
ちょうどいい味と色加減の味噌汁、きゅうりの漬物、
玉子焼きにウインナーがそれぞれ皿に盛られて並べられていた。
程よい色のバランスで彩られたテーブルに並べられた食べ物は
視覚的にも嗅覚的にも空腹感を刺激するのに充分なものだった。

いただきます、と手を合わせて、炊きたてのご飯を頬張る。
とても美味かった。

そういえば家庭的な朝食なんて何年ぶりだろうか。
親元を離れて一人暮らしをする俺は会社の途中にある
田舎っぽいニセモノコンビニで適当な菓子パンを買い漁って
会社の自分の席で食べるのがいつもの俺の朝食だった。


8 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/16(木) 22:39:56.04 id:MtY97iY70

「おいしい?」

ツンが頬杖をつきながら問いかけてくる。

「うまいよ。」

率直な感想を述べる。
ツンは嬉しそうに笑って、俺も笑い返す。
ツンの笑顔を出来るだけ直視しないように。



9 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/16(木) 22:41:06.77 id:MtY97iY70
 外から車の音や子供達のはしゃぎ回る声が聞こえて
ふと、今日が日曜日なのだと言う事に気付かされた。
いやに賑やかな外に対してこの部屋の中はとても静かだった。

 ツンが洗い物をする音と時計の音。
俺がお茶を啜る音がたまに聞こえて………
聞こえる音はそれだけで、とにかく、その部屋の中は静かだった。




12 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/16(木) 22:42:40.45 id:MtY97iY70
「今日は何時くらいに帰る?」

流し台で皿を洗いながら静かにツンが口を開いた。

「あぁ、昼前には帰るよ。
 夕方からでも仕事行かなきゃ。」

「今日は日曜日だけど?」

「俺の職場に土日は無いんだよ。」

「そう……。」


「それに、ブーンも帰ってくるんだろ?今日。」

一瞬、ツンの手が止まる。

「そうね。」

静かに一言、返事を返してまた何事も無かったかのように
洗い物を再開する。


13 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/16(木) 22:44:47.77 id:MtY97iY70
 二人で身を寄せ合った刹那は確かにそれを忘れて貪りあった。
だけど、俺はブーンを裏切った。ツンもまた、ブーンを裏切ったんだ。
その現実に、俺達はこれから身を置かなければならない。
…俺は、まだいい。
距離がある。
だけど、ツンは………ブーンと同じ家でブーンの妻として
裏切った事をひた隠しにしてこれからの日常を生きていかなければならない。
それはとても苦しい事ではないかと思った。

返信2006/11/16 23:44:02