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2jigendaddyjigendaddy   ('A`)ドクオが生きるという事について考えるようです-2

11 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:11:48.01 id:e68qkRWc0
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 ここ最近、近しい人の死に触れる事が多かった。
見殺しにした………というのは語弊があるが
要は死にたいと相談を持ちかけてきた友人達が
悩み抜いた果てに見出した”自殺”という選択を止めずに、
むしろわが身可愛さに後押しするような事を言ったのに端を
発するのだと思う。


12 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:12:32.33 id:e68qkRWc0
 その友人達はブーンとツンという名前だった。

 俺とクーがまだ学生だった頃に出会い、一緒に色々とバカをやった間柄だ。
貴重な青春時代を、共に過ごした掛け替えのない仲間だ。

 ブーンとツンはその頃は性格が合わず、洒落にならないケンカをしては
和解するという見ている側にとって心臓に悪い事を繰り返していた。
しかし、男女関係というものは何者にも予測できないという
誰かの言葉の通り、二人は紆余曲折を経て結婚するに至った。
 二人の間に子供が出来て、結婚すると聞かされた時には
クーも俺も驚いた。


13 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:13:09.76 id:e68qkRWc0
性格的にはちょっとクセが強く、それでも自分の意志と信念を
強く持っている二人はそれなりにうまくやっていたようだった。
程なくして愛娘も生まれた。

 学生の頃と違い、ブーンとツンを除いてオレもク-も
全員、就職や進学の都合で離れた場所に住み移ったが、
偶然、四人が揃って地元に揃う事があり、俺達は久しぶりに
顔をあわせた。

 人妻となり、母となったツンはさらに魅力的になり、
ブーンはブーンで一児の父として、さらに若いながらに
何かしらの役職に就いた事もあってか、逞しい顔つきになっていた。
それに比べて、俺は相変わらず学生に間違われるような
子供っぽい顔つきのままだった。


15 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:14:00.27 id:e68qkRWc0

「おめでとさん。」

 学生時代によく利用していた居酒屋。
手にしていたグラスをブーンのグラスに合わせる。

「ありがとうだお。」

 どこか皮肉っぽく見える微笑を絶やさずにブーンが
グッと一息にビ-ルを飲み干す。

「26歳で昇進だろ?まぁ、スゲーよな。
 良かったじゃねーか。」

 ブーンに対抗するようにビールを一気に飲み干し、
白々しく言ってみる。
想像通り、ブーンは表情を曇らせた。


16 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:14:41.42 id:e68qkRWc0
「そうは言うけど、消去法でブーンしかいなかっただけだお。
 本当に上に立つべき人はみんな、辞めていってしまったお。」

 だよな。すまん。
俺も分かってて言った。

 俺もブーンも離職率の高い仕事に就いている。
だから、良い具合に育った人は次々と職場を変えてしまう。
若いながらの異例の昇進もこの業界を見渡してみれば
そう珍しい話ではなかった。


17 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:15:13.78 id:e68qkRWc0
「それでも、トントン拍子に出世を重ねてるんだ。
 羨ましい事じゃないのか?」

 クーが口を挟む。

「そうでもないお。」

「出世ってのは割にあわないもんだって言うもんな。」

「増える手取り以上に押し付けられる事は多くなるものだお。」

 入社し立ての頃が特にそうだ。
昇進や出世といったものがこの上ない栄誉だと思っていた時があった。
 だが、現場の現実、会社の中の人間関係の管理、
上層と下層の仕事への取り組み方の意識の相違、
”出世”とはそれらの管理を押し付ける体の良い言葉だと
いつからか俺達はそう認識していた。


18 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:15:42.07 id:e68qkRWc0
「だがまぁ、それが社会というものだろう。
 とにかくおめでとう。」

「あぁ、まぁありがとうだお。」

「気のない返事をするんじゃないの。
 せっかくクーもドクオも祝ってくれてるんだから。」

 少し曇った表情のブーンをツンが軽く小突く。
ブーンは少しムッとしたような表情になったが
すぐにやれやれ、といった素振りで普段の表情を見せる。

「そうだなお。」

 その何でもないやり取りに、ブーンとツンの間には絆が確かに
生まれて、育っているんだな、と思った。

「そういえば、ドクオは今の会社を辞めるって言ってなかったっけ?」

19 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:16:13.80 id:e68qkRWc0
 不意にツンが俺に話題を振る。
正直、蒸し返して欲しくない話題ではあった。

 去年の暮れ。
会社のプロジェクトが一段落した頃、俺は何を思ってか
今の職場を出てもっと大きな会社に行こうと考えた。
自身の実力も省みずに。

「あ、あぁ…。」

「まだ話してなかったのかお?」

 ブーンには転職について何度か相談を持ちかけた。
ブーンはまだまだ今の会社で技術を磨けと言っていたが
無駄に血気盛んな俺は会社を辞めてキャリアアップという
蜃気楼のような具体性のない何かを求める事を心に決めていた。


20 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:16:57.10 id:e68qkRWc0
 だが、上司にも話を通し、転職先への履歴書やその他
自分の実力をアピールするための作成物まで用意した所で、
不意に俺は自分の力に自信を無くしてしまった。
 俺は踏みとどまってしまったのだ。
ここで盲目的に飛ぶ事が出来ずに、俺は恥かしげもなく
もうしばらく会社に置いて欲しいと上司に頼み込んだ。
上司は特に嫌味を言うでもなく、新たな仕事を与えてくれて
何事もなく、同じ会社に身を置かせてくれた。
ありがたいと思った。
癖は強いかもしれない。だけど、安定した職場にいて、
俺は徐々に転職に見た夢を失いつつあった。

「もうしばらく今の職場に居る事にしたんだよ。」

「そうなんだ。」

「まぁ、それが一番だよ。」

 ツンもクーもどこかホッとした表情でそう言ってくれた。
だが、ブーンだけは違った。


「ドクオは半端者だお。」




21 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:17:39.46 id:e68qkRWc0
 上司に謝った後、ブーンにも会社に残るという事を報告した。
その時に、返された言葉はこれだった。

 一度は考え留めるように促したブーンだが
俺のあの時の決意を汲み、転職先についても色々と
情報を与えてくれたり、前向きに力添えしてくれただけに
ブーンからすると、俺がとったこの行動は裏切りと
言って差し支えのないものだったのだろう。
だけどブーンはそれだけ呟いて、その後は俺の今後について
また相談に乗ってくれた。



22 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:18:06.93 id:e68qkRWc0
 安堵してくれているように見える二人とは対照的に
今のブーンの表情はあの時、きっとこういう顔で
この言葉を言い放ったんだろうなと思わせる何とも言えない
表情だった。



返信2006/11/15 11:14:18