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31jigendaddyjigendaddy   ('A`)ドクオが生きるという事について考えるようです-30

361 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 22:33:13.60 id:Qh8E0x6j0

他の誰かはそれに異を唱えるかも知れないが
それでも、俺はブーンとツンの決意を認めようと思う。
そして、
二人がその選択肢を選んだ事によって
今目の前に広がる世界に二人が居ない事も、
時には悲しくなる事も寂しくなる事もあると受け止めて、

その上で二人の選択を、俺は認めよう。


二人は確かに”生きていた”
それを証明する為に、俺は認めよう。



362 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 22:33:59.25 id:Qh8E0x6j0




     ドクオが生きるという事について考えるようです





363 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 22:35:41.10 id:Qh8E0x6j0



晴れた土曜日の午後。

季節の頃は冬。

天候は快晴。

絶好の引越し日和だ。


368 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 22:38:59.84 id:Qh8E0x6j0

仕事が一段落した事と気持ちを切り替える為に
俺は今日引っ越しをした。
前に住んでいた家から中途半端に離れていて
今の会社からは程遠く、新たな職場を探すにも程遠い、
何をするにも、本当に中途半端だった。



だが、それで良かった。


369 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 22:39:42.92 id:Qh8E0x6j0

ダンボールで埋め尽くされた部屋を背にベランダで大きく伸びをする。

さすが田舎。
空気は美味い。
空も広い。


370 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 22:43:19.48 id:Qh8E0x6j0


「ドクオ君、この荷物はここに置いておけばいいのか?」

クーが小さなダンボールを重ねて、抱くようにして持ちながら俺に尋ねる。

「あぁ、頼む。
 そこいらに重ねて置いてくれ。」

おおまかな置き場所を指示してクーはその通りにダンボールを置く。
ふむ、と部屋を見渡して言った。

「これで、粗方運び終わったのか?」

「あぁ、これで全部だ。」

「一人暮らしとは言え、結構な荷物量だったな。」

「手伝ってもらって悪かったな。」

「気にするな。
 紙コップとインスタントコーヒーがあるんだ。
 コーヒーでも入れよう。
 座って待っていてくれ。」


372 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 22:45:37.67 id:Qh8E0x6j0



ダンボールだらけの部屋、二人で向かい合って
クーが淹れたコーヒーを飲む。

相変わらず、クーのコーヒーは苦い。
だが、その苦さがまた格別だった。

「うまい。」

「それは良かった。」


374 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 22:48:32.92 id:Qh8E0x6j0

煙草を箱から取り出す。

「吸ってもいいか?」

「ああ、構わないよ。」


煙草に火をつける。
銘柄はラッキーストライク。

クーはその”変化”に気が付いたらしい。

「ドクオ君、煙草の銘柄を買えたのか?」

不思議そうな顔で煙草の箱を指差す。

「あぁ、ちょっとな。
 ピースは止めた。」

「………そうか。」


理由は言わずとも察してくれたらしい。
それ以上追求される事はなかった。


376 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 22:50:54.81 id:Qh8E0x6j0






「しかし、ドクオ君とは短い付き合いだったな。」

話の流れからクーを近くの駅まで送る事になり
一緒に部屋を出てドアに鍵をかけた所でクーが呟いた。


377 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 22:51:37.93 id:Qh8E0x6j0

「はぁ?何言ってんだ?
 高校の頃からの付き合いのどこが短いって言うんだよ。」

「恋人同士としての付き合いだよ。
 ほんの数ヶ月ぐらいの付き合いだったじゃないか。」

「……あぁ、そういう意味か。」


クーの言った通り、俺達は別れる事にした。

理由はシンプルだ。
クーにはクーの目指したいものがあり、進みたい道があり
俺には俺の考えが出来て………
その道は違うものだから、それぞれの道を進む為に
俺達は別れる事にした。


380 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:00:12.50 id:Qh8E0x6j0


曖昧な関係は終わった。
だけど、それは形を変えて確かな関係になったと俺は思う。

都合のいい話なのかも知れないが、
暫定である事を止めてようやくにして分かった。
クーは掛け替えのない大切な仲間だ、と。

そんな簡単な事をようやくにして気付けた。


383 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:02:04.80 id:Qh8E0x6j0

今までは一口に仲間だと言っても、それはどこか浮ついていて
本当に困った時、窮した時には何の効果も持たない心が平穏を保てる時のみの、
限定的のものだと思っていた。

正直に言おう。
俺はその絆を心のどこかで疑っていた。


386 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:05:17.69 id:Qh8E0x6j0

だけど、俺が本当に困った時、道を失った時、
何もかもが分からなくなった時…
いつでもクーは俺を気に掛けてくれていた。

クーが俺に対して恋心を持ってくれていたのかどうかは分からない。
でも、少なからず心配して、俺が潰れないようにと暫定的な道を考えて
それを指し示してくれた。


388 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:07:52.39 id:Qh8E0x6j0


だから、これから先、もしもクーが困った時、
俺はクーがしてくれたように俺の意志で、俺の出来る事を考えて
クーを助けてやりたいと思う。

曖昧な間柄の人間としてではなく、大切な仲間として力を貸す事が出来れば、と
そう思う。


391 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:10:22.77 id:Qh8E0x6j0

田園風景を二人、並んで歩く。

新しい部屋から駅までは歩いてすぐの所だったが
最寄り駅ではなく一つ向こうの駅へ向かって歩いていた。

………もう、しばらく会えなくなるから。

お互いに申し合わせたわけでもなく、俺達の足はごくごく自然に
一つ向こうの駅に向かっていた。



「いつ、日本を発つんだ?」

並んで歩くクーに問いかける。


394 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:12:27.08 id:Qh8E0x6j0

「あぁ、来年の頭を予定している。」

俺が自分なりの答えをクーに示した後、
クーは兼ねてより自分のやりたい事を成し遂げるために
海外へ行く事を考えていたと俺に教えてくれた。

その告白から程なくして、正式に渡米を決意した。


397 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:14:40.37 id:Qh8E0x6j0

「しばらく会えなくなるな。」

少し暗い声でクーは呟く。

「でも、また会えるさ。
 俺達は生きてるからな。
 それに、それはお前の夢なんだろ?
 だったらそんな顔せずに、胸を張ってなくちゃあな。」

「ドクオ君に言われるとはな。
 心外だ。」

クーが少し驚いたような笑ったような…
そんな表情を漏らす。


399 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:20:10.60 id:Qh8E0x6j0

確かにそうだよな。

胸を張って生きていなかった俺が言う言葉じゃないよな。


でも、今は違う。


401 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:23:37.83 id:Qh8E0x6j0

辺り一面の田園風景。
雲一つない空。
そんな辺鄙で駅員すらもいない駅で俺とクーは電車を待っていた。

ちょうどいい具合に俺達が駅に着いた数分後が電車の到着時刻になっていて
電車が来る方向に目を凝らすと豆粒くらいの大きさの電車が見えた。


403 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:26:53.91 id:Qh8E0x6j0

「なぁ、クー。」

「なんだ?」

「最後に握手しようぜ。」

「ふふ、本の読みすぎじゃないか?
 そんな恥かしい事、今時流行らないぞ。」

「いいんだよ。
 流行りも廃りも関係ない。
 俺はお前と握手したい。」

手を差し出す。

やれやれ、とクーは呆れたような顔をしていたけれど
すぐに手を差し出して、俺達の手が結ばれた。


ぎゅっ、とクーの手を強く握る。
クーも強く手を握り返してくれた。

「それじゃあ、どうか元気で。」

ゆっくりと手を離してクーは電車に乗り込んだ。


406 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:32:07.14 id:Qh8E0x6j0

電車のベルが駅に響く。


――――ベルがその音を止めてしまう前に、もう一つだけ。

「クー!」

叫びに似た俺の声にクーは不思議そうな表情を返す。
俺はそんなクーの目をまっすぐに見据えて言った。




「約束だ。絶対に、また逢おう!」


407 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/24(金) 23:32:50.76 id:Qh8E0x6j0

恥ずかしいそんな言葉にクーは笑顔で答えてくれた。



「必ず、逢おう!!」


返信2006/11/25 18:35:44