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5jigendaddyjigendaddy   ('A`)ドクオが生きるという事について考えるようです-5

55 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:39:58.98 id:e68qkRWc0
 慣れない都内の電車を乗り継ぎ俺は新幹線に乗り込む。

 リラックスし難いシートに身を任せ、まどろんでいると
今日一日の出来事が堰を切ったかのように脳裏に流れ込んできた。
すっかり意気消沈したブーンの姿。
理不尽なブーンの会社への憤り。
ブーンが死のうとした事。
少し落ち込み気味に見えたツンの顔。

 思い出しては怒りがやってくる。
 そしてまた思い出しては悲しみがやってくる。
 俺の心は考えと感情を整理出来ないが為に大きく乱された。

56 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:41:05.61 id:e68qkRWc0

 無性に喉が渇いた。
喉だけではなく、他にも色々と乾いたような気がした。

 車内販売のお姉さんがちょうどいいタイミングでやって来たので
普段は全く飲まないビールを買って飲む。

 酔えば、この感情の波から少しは逃げられるかと思った。

57 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:41:44.19 id:e68qkRWc0
 傍から見て学生にすら見えかねない俺が
夕方にもならない時間にビールをかっ食らう姿を見て
中年サラリーマンは嫌味な表情を見せたが知った事か。

 こんなグチャグチャな気持ちになって飲むビールが
羨ましいなら気持ちごとくれてやる。

59 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:42:46.46 id:e68qkRWc0

 およそ二時間が過ぎて新幹線を降りる。
歩きなれない駅を歩き、家へと向かうローカル線の切符を
買ってホームで電車を待つ。

 帰宅ラッシュの時間か、ローカル線に関わらず駅構内は
結構な人でごった返していた。
電車に乗り込む人の列に向かうよりも先に、俺は自販機で
お茶を買って口直しする。
ビールは俺の口には合わなかった。
一時間以上口を蹂躙していた嫌な味が浄化されていく。
二十歳を超えて二年が過ぎたが、未だに酒の味は理解出来ない。


61 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:43:35.05 id:e68qkRWc0

ピリリリリリ

 携帯が鳴る。
疎ましそうに俺を睨むオバサン集団から逃げるように
列を抜け出て電話に出る。

「もしもし、ドクオ君か?」

 電話はクーからだった。

62 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:44:21.01 id:e68qkRWc0
「珍しいな、お前が電話してくるなんて。」

「あぁ、さっきツンと電話で話したからな…。
 少し気になって電話した。」

「そうか。」


 俺は実際のブーンの様態を話して、クーは俺があまり詳しく
聞けなかったツンの状態や入院費用やこれからの生活費、
会社への手続きなど妙に生々しく切実な話を聞かせてもらった。


「ツンが……気にしてたよ。」

 一しきり互いに報告を終えてクーが唐突に切り出した。

「何をだ?」

64 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:45:00.96 id:e68qkRWc0
「ドクオ君がブーンを慰めようとしたのを止めたそうじゃないか。」

「あぁ。」

 はっきりとした拒絶の意思表示があったあの事か。

「その話をした時に…ツン、少し泣いてたようだ。」

「な、なんでだ?」

「………聞いても、怒らないか?」

 嫌な予感がした。

65 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:45:51.07 id:e68qkRWc0
「又聞きになるからどこか解釈の仕方を誤っているかもしれないが」

 そう前置きしてクーは語り始めた。
ほぼ同時に乗る予定だった電車がホームに滑り込んできた。
ゲロのように人が吐き出され、また狭苦しい車内に人が飲み込まれていくのを
遠めに見て、俺はクーの言葉に耳を傾ける。

66 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:46:26.24 id:e68qkRWc0
「プライドの高いブーンの事だから色んな意味で
 後輩である君に慰められるのは耐えられないと
 思ったんだろう。
 だから、ツンは君を止めたんだ。」

 遠まわしに…多分、クーなりに気を遣って
言ってくれたのだろうがそれでも…息をする事さえ
忘れるほどにショックだった。


67 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:47:36.85 id:e68qkRWc0
 そりゃあ確かにそうだ。
ブーンはちょっと名の知れた企業の技術主任様で
実力も人望も桁違いに高い。
対して俺は中小企業の平社員で技術も実績も人望も
まだまだ足りていない若輩者だ。

 だけど、それは酷いな、と思う。
いつからか思っていた。
ブーンが困ったときには、今までの恩返しも兼ねて俺が
あいつの力になるんだと。
少なからず、同じような仕事に就いているだけに
それくらいの力はあるんだと、思っていた。

68 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:48:13.74 id:e68qkRWc0
 だから………
こんな時だからこそ頼ったっていいじゃねぇか。
溺れるものは藁をも掴むって言うだろ?
俺じゃ藁ほどの役にも立たないってか?

「もしもし?ドクオ君。もしもし?」

「あー、聞こえてるよ。」

 声は大丈夫。震えていない。
だけど目から零れるものだけはどうしても
止められなかった。

69 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/13(月) 22:48:58.32 id:e68qkRWc0
「悪い、今から電車に乗るから一旦切るぜ?」

 返事を待たずに通話を切る。
次の電車が来るまでは、まだまだ時間があった。

 時に夏の終わりのある日の夜。

 俺はこの日、自分の矮小さを…友人達から見た
俺という人間の価値が垣間見えたような気がした。

返信2006/11/15 11:21:48