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6jigendaddyjigendaddy   ('A`)ドクオが生きるという事について考えるようです-6

120 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:07:59.94 id:JNA4AI+U0
 日常は個人の感傷などおかまいなしに回っていく。
翌日、俺はいつもと同じように会社に出社した。


「おや、ドクオ君。
 今日は何だか顔色が悪いねぇ。」

 朝礼の後、仕事の報告書を持って行くと上司は
俺の顔を見るや否やそう言った。

121 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:08:32.29 id:JNA4AI+U0
「そ、そんな事はないっすよ。」

「ふーん、まぁいいけど。
 仕事、遅れが出てるみたいだけど
 頑張ってね。」

 上司との会話はそれで終わり、自分の席につく。

122 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:09:16.45 id:JNA4AI+U0
 そんなに昨日の事が顔に出てるのか?


―プライドの高いブーンの事だから色んな意味で
 後輩である君に慰められるのは耐えられないと
 思ったんだろう。
 だから、ツンは君を止めたんだ。

 クーに言われた言葉が頭の中に反芻する。




124 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:10:34.83 id:JNA4AI+U0
「よーう、ドクオ。
 上司に何か言われたんか?」

 パーティションで区切られた隣の席の同僚ジョルジュが
ニヤニヤと笑いながら声を掛けてきた。

「俺の顔が疲れてるように見えるってさ。」

「ははは、ドクオは疲れてるように見えるのがデフォルトなのにな!
 上司も分かってねーぜ!」

 ジョルジュはそう言ってカラカラと笑う。
俺もぎこちなく笑い返す。


125 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:11:15.38 id:JNA4AI+U0
「ふーん、本当に疲れてるみたいだな。
 そんなに疲れてるんならこれ、やってみるか?」

 机の引き出しから18と書かれたシールの張られたパッケージを取り出す。
いわゆる肌色の多いゲーム、ぶっちゃけエロゲーだ。

「これはいいぞー。
 やったらマジで元気出るって!おっぱいおっぱい!」

 片手をぶんぶんと振りながら、俺の手に無理やりエロゲを持たせる。


「まぁ何か嫌な事があっても、エロゲやってメシ食って寝れば俺は
 忘れられるからな。お前もやってみろって。」

 ジョルジュなりに心配してくれているのだろうか。
さり気無い気遣いが嬉しかった。



126 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:11:56.14 id:JNA4AI+U0

 昨日の事は確実に響いているようだった。
プライベートの悩みを仕事に出すわけにはいかないと思いつつ、
作業に望むが、仕事の効率は全く上がらない。

 集中しようとすると次々と嫌な事を思い出し、
考えが阻害されるような澱みを感じる。


 結局、定時を過ぎて日が変わっても一日の目標を達成出来なかった。

127 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:13:18.20 id:JNA4AI+U0
「くそッ!」

 ついつい苛立ってキーボードを強く叩く。
思いの外音が大きかったが既にフロアには俺しか居ない。
音を気にする必要はなかった。

 人気のないフロアで俺はため息を漏らす。
苛立ちと不安が次々と心を駆り立てて
目から一つ、涙が零れた。

128 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:14:09.82 id:JNA4AI+U0
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 深夜2時を過ぎて家に帰り着く。
シャワーを浴びて遅めの軽い夕食を取り、布団に入る。
明日、取り戻さなければならない作業量を布団の中で考えて眩暈がした。

―まぁ、それでもブーンの仕事に比べたら屁みたいなもんだよな。

 そう考えると、安心出来た。
………何故安心出来たのかは、よく分からなかったが…。

129 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:15:09.61 id:JNA4AI+U0


 うとうととし始めた深夜3時過ぎ。
不意に携帯が鳴り出した。
迷惑電話か、と心の中で悪態を突きながら携帯のディスプレイを見る。

 ディスプレイにはブーンの名前が表示されていた。
慌てて通話ボタンを押す。

130 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:16:04.02 id:JNA4AI+U0
「ドクオ、夜分遅くにすまないお。」


 ブーンの声は昨日より、いくらか明るくて少し、ホッとした。

「あ、あぁ。どうしたんだよ?」

「ちょっと相談があるんだけど、いいかお?」

「え?」


 ブーンの急な申し出を脳が理解するのには数瞬かかった。
そして、脳がそれを理解した時、心が激しく躍り、
俺は深夜にも関わらず近所迷惑なほど明るく大きな声で返事を返した。

「お、おう!
 何でも相談に乗るぜ!」

「ありがとうだお。」

131 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:17:02.77 id:JNA4AI+U0
 ブーンが次の言葉を発するまでには少し、間があった。
そして、わずかな間の後、突然、こう切り出した。


「これから死のうと思うんだお。」




132 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:18:01.91 id:JNA4AI+U0
 背筋に悪寒が走る。
こいつ、何を言ってるんだ?
いや、今のは俺の聞き間違いかも知れない。

 しかし、そんな哀れな希望的観測はブーンの言葉によって打ち砕かれた。

「懲戒免職を食らった今、ブーンには生きる意味がないお。
 だから、死のうと思うんだお。
 ドクオ、何か死に方知らないかお?」

134 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:18:47.43 id:JNA4AI+U0

 それから二時間余り。
ブーンの恨みつらみを聞かされた。
会社がどうのと、プロジェクトがどうのと。

 分かってるよ。
お前の会社が悪いって事も、そのプロジェクトが最悪だったって事も。
別にその愚痴を聞くくらい全然構わないさ。
むしろ、今まで俺がお前に愚痴聞いてもらってたくらいだもんな。


135 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:22:05.24 id:JNA4AI+U0
 だけど一つ分からない。
どうして、お前が”死ぬ”なんて俺に言い出したのか。
死に方について相談に乗ってくれなんて言ったのか………。

 昨日、ツンから話を聞いていた時には心のどこかで
ブーンが自殺未遂をしたという事を信じていなかった。
もしかしたらそんな事もあったかも知れないが、それでも
ブーンはすぐに立ち直って、俺はブーンが死のうとした事なんて
微塵も感じないで済むと思ってた。

 だから、信じたくなかった現実を急に突きつけられて
俺はただ、心の中でのた打ち回るしかなかった。

138 名前:(・へ・) 投稿日:2006/11/15(水) 01:24:29.43 id:JNA4AI+U0
 どうにかブーンをなだめて、死ぬな、死ぬなと繰り返す。
壊れたテープレコーダーのように、俺はただその言葉を
繰り返すしかなかった。

「まだ今は死なないお」

 曖昧な約束一つを取り付けて二時間に及んだ”相談”は終わりを迎えた。

 新聞配達のバイクの音が耳に入り、時計を見る。
時刻は午前4時。
窓の外から見えた空が白みがかっていた。

返信2006/11/16 09:31:58