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2jigendaddyjigendaddy   一 斬鉄と砕鉄

8 名前: ◆xjCZpXtL0U IDがコロコロ変わる 何故だ 投稿日:2008/04/09(水) 20:26:00.16 ID:07IRNSIR0
一 斬鉄と砕鉄

その昔、鬱田独右衛門氏脳という流浪武士がいた。
聞けば東では悪を討ち、西では弱きを助けると謂う。
内藤一刀流の出であり、皆伝を成すからして、腕は素晴らしいものである。

そんな独右衛門は、ある刀を一口と一本持っている。
一口は斬鉄の刀。事実、鉄を斬ったかは定かではないが、謂れ名はそうなっている。
そしてもう一本、砕鉄の小刀。ただ、この小刀だけは、実話である。
しかし、どちらも無銘であった。

(´・ω・`)「私には脇差が無い。実際、無くしてしまったのです。しかし、目の前に存在する
      その脇差。伝えに聞けば、鉄を砕くのだとか」

石橋の上、両者はただ睨み合うだけであった。
独右衛門―独と呼ぼう―は柄に未だ手を置いている状態である。

('A`)「その通り。この脇差、砕鉄は名の通り鉄を砕く」

今やいつ斬りあっても可笑しくは無いこの状況。
初歩之助兵衛―初歩と呼ぼう―は掲げた刀を未だ宙に浮かせている。

9 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/09(水) 20:28:00.18 ID:07IRNSIR0
(´・ω・`)「・・・面白い。その脇差、貰い受ける」

初歩が言い終えるのと駆け出したのは同時であった。

(´・ω・`)「いざ!!」

空気を裂くこの音こそが、初歩の太刀筋である。
元より人斬りであるということは、腕が立つということだ。
生半可な腕ならば、当の昔に切り捨てられているであろう。

('A`)「!!」

しかし、兜割は命中はせず。

(´・ω・`)「ぬぅっ・・・」

どこか、鉄を打ったような感覚が身を襲う。
慌てて数歩離れてみれば、眼前には独の刀があった。

10 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/09(水) 20:30:22.20 ID:07IRNSIR0
(´・ω・`)「!!」

横薙ぎを身を屈めて避ける。
瞬間、まるで頭の上から旋風が巻き上げるかのような風が通った。

(´・ω・`)「せいっ!」

自らの柄で目の前にある独の鳩尾へと叩きつけようと試みるも、独は気づいたのか
後方へと下がってしまった。

(´・ω・`)「・・・わずか一合にてこれほどとは・・・やはり、腐っても内藤一刀流皆伝か」

この一帯は既に別の領域へと変化している。
二人を中心に、まるで結界のような殺気が立ち込めているのだ。

('A`)「お喋りが過ぎる。貴様、嘗めてかかってくれるなよ」

言い、またも居合いの姿勢に入る独。

(´・ω・`)「居合いの内藤とはよく言ったものだ。先ほどの太刀筋、まったく見えませんでした」

12 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/09(水) 20:32:00.81 ID:07IRNSIR0
内藤一刀流。名を聞けばまず知らぬ者はおらず、居合いと言えば内藤、とはよく言うものである。
独特な流派でありながらその実、内藤出の者は誰もが猛者であった。
主は居合いを始め、小太刀術、槍術、柔までもが含まれている。

('A`)(しかし、この男・・・迷いが無い。むしろ、迷いを知らぬ太刀筋だ)

最初の袈裟斬りだ。まるで黄泉へと誘うその形は、恐ろしいものであった。
いや、そもそもこうして死合っているのだから、不思議ではない。
しかし。

('A`)(もしや・・・)

まさか、と思い今度はこちらから攻め手を踏んでみる。
速度を乗せ、相手まで後四歩。勝機を見出し、抜刀する。

ギャリッ、と。

('A`)「!」

見れば、斬鉄が地に叩きつけられている。

('A`)「まずい!」

14 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/09(水) 20:37:20.42 ID:07IRNSIR0
何が起きたのか未だ理解できずに、砕鉄を縦に構える。
瞬間、衝撃が身を襲い、後ろによろめいた。

('A`)「おわっ―」

ズシャリ。

右肩から左足にかけてまで伝うこの痛み。
即座に斬られたのだと思うも、身は地へと倒れた。

(´・ω・`)「・・・元来、居合いとは待つものです。しかし、何を焦ったのでしょうか、貴方様は」

どうやら、独の横薙ぎの居合いは上から叩き落されたようだ。
手にはまだ、痺れが残っている。

身をもって受けたこの痛み。
だが、斬り口から何故か、妙な痛みだと感じた。
当然このような事を何度も繰り返してきた。しかし、未だかつてこのような痛みは知らなかった。
まるで真剣の切り口だとは、到底思えないほどの粗末な痛み。
鋭さが襲ってこないのだ。
そう、まるで、引っ掻き回されたような。

17 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/09(水) 20:45:49.97 ID:61/f/oSY0
(´・ω・`)「しかし、流石は砕鉄の小刀。あっさりと我が刀を屠り去ってくれるとは」

それを聞き終えると、足元に鉄の塊が落ちるような、そんな音が届いた。
嗚呼、そうか。あれで防いだのだから、当然相手の刀など見る影も無いであろう。
何しろ、あれを斬るということは、鋼その物を斬るも同然なのだから。

(´・ω・`)「―これは」

まだ独の右手にある小刀を、初歩が奪い取る。
しかし、漏れてきた声は驚きであった。

(´・ω・`)「もはや、これを刀と呼べるのでしょうか。いや、断じて有り得ません。
      これは、刀の形をした鋼だ」

砕鉄の小刀。
名前を見れば、さぞ斬れる小刀なのだろうと思う者が多いと思う。
しかし、実態は違う。鞘越しに見れば小刀ではあるが、本当は鋼の塊なのだ。
いや、言い方を変えよう。その小刀には刃は付いておらず、1尺3寸のソレには似合わない重みがある。
幅もまるで大太刀の如く。

18 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/09(水) 20:46:59.12 ID:61/f/oSY0
(´・ω・`)「・・・成るほど、相手の武器を破壊するための刀、か」

砕鉄の由来はそれであった。
元々は相手を撲殺するためのものでもあったが、その重み、厚み、そして壊れることなき刀身。
独はそれを相手の武器を破壊するためのものに使用していた。
例え相手が神速の攻撃をもってしても、この小刀で受ければひとたまりも無いのだ。

('A`)「ぐぅっ・・・」

だが、独にはそれはどうでもよかった。
負けたのだ。独は、人斬りに負けたのだ。
武士なれば、恥を背負いて生きてはいけぬ。

('A`)「介錯を・・・」

死合うのであれば、当然どちらかが死なねばならない。
此度は、独が負けたのだ。負けたのならば、死ぬのみだ。

(´・ω・`)「・・・・・」

だが、人斬りはただ黙ったまま独を見下ろしていた。

('A`)「頼む・・・殺せ・・・」

これ以上恥をかきたくないばかりに、死を催促する。

19 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/09(水) 20:48:00.16 ID:61/f/oSY0
(´・ω・`)「・・・残念ですが」

それだけを言うと、人斬りは背を向けた。

(´・ω・`)「こんなにも素晴らしいものをいただいた。貴方を殺すのは止めて差し上げましょう。
      それでは―あぁ」

ふと、思い出したかのように人斬り、初歩は振り返り独に訊ねた。

(´・ω・`)「何故、あの時駆け出したのですか?試すにしても、内藤の出の者らしくない。
      あれでは単なる愚行もいいところです」

もはや死人である独に向けての質問は、独にとっての疑問でもあった。

('A`)「・・・貴様の太刀筋を見て、思ったのだ・・・示現流ではないか、と・・・」

示現流。「二の太刀いらず」で有名なその流派は、まさに必殺。
髪の毛一本でも早く打ち下ろせというほど初太刀から勝負の全てを掛けて斬りつける鋭い斬撃が特徴である。(wiki参照)
主に実戦を想定とした流派であり、示現流と死合う者に生きる者無しとまで言わしめられている。

(´・ω・`)「・・・成るほど、流石は独右衛門様だ・・・」

少し驚きを見せるも、しかしとて男は平然としていた。

20 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/09(水) 20:52:05.06 ID:61/f/oSY0
(´・ω・`)「如何にも。この人斬り、曙歩初歩之助兵衛。出は示現流、皆伝を納めております」

答えられたのは、予測通りであった。
しかし、毒は驚愕を隠せないで居る。
示現流に負けた。それはつまり、独が、そして内藤一刀流が負けたと言うことだ。

(´・ω・`)「それでは。しかとこの小刀、貰い受けました」

去り行く人斬りの背を睨み、独は叫んだ。

( A )「死して屍拾うものなし。さりとて、魂までは果てず。
   人斬りよ!俺は既に死んだ身だ!しかし、その刀いずれ返してもらおう!
   待っていろ、直ぐだ、直ぐに奪い返して見せよう!例え世が我を邪険にしようと、生き恥をさらそうと!
   その小刀を、そして我が内藤一刀流の!恥と、魂と、死を!奪い返してやる!」

(´・ω・`)「・・・いいでしょう、待っています。貴方様が、また私の前に現れることを。
      そして、次こそ。完全に貴方を殺してあげましょう」

後に、火富の町から噂が広がった。
独右衛門が、人斬りに負けた、と。

21 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/09(水) 20:53:08.09 ID:61/f/oSY0
 
 
「・・・行くのですか?」

火富とは近く、されど遠くも無い羅雲(らうん)の国の、ある剣道場にて。
ある男は一人、旅の荷造りをし、ある女は、その男に問いかけた。

「噂は君も聞いたお?独が、負けたお。人斬りに」

その独特な喋り方と、温和そうな顔からは、決して彼がこの道場の師範代を務めているとは思わないだろう。

「でも、つい先日、狐家からの推挙がかかったばかりですよ?なのに・・・」

「だからこそ尚、だお」

男は、風呂敷を背負うと軒先へと出る。
桜は彼の頬を掠め、地へと落ちた。

「人斬り、曙歩初歩之助兵衛。独を斬った男だお。そして―」

振り返ると、女は寂しそうな顔をしていた。

「僕の幕臣になるための条件、『歩之助兵衛の抹殺』。果たして来るお」

しかし、女は答えず。
男はただ道を行く。その先に何があるのか。何が待つのか。

23 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/09(水) 20:54:48.07 ID:61/f/oSY0
「―武雲!!」

背後から、名前を呼ばれ振り返る。

「必ず、生きて帰ってくるのよ!!」

先ほどの女は、まるで位など気にもせず、男にそう言った。

( ^ω^)「おっ!この内藤一刀流師範代、内藤武雲法螺居存!必ずや帰ってくるお!」

手を振り、男は最後にこう言った。

( ^ω^)「何故なら某、貴女様の士(さぶらい)でありますが故」

それだけ言い、男は駆け出す。
その後姿を見たまま、女は小さく呟いた。

ξ゚⊿゚)ξ「この津出鈴、貴方様のお帰りを待つ所存で御座います・・・」

ポツポツと、雨が舞う。
だかしかしとて、それは雨ではなく、涙であった。
女、鈴の涙は止むことが無く、これがこの年初めての春雨であった。


一 了

返信2008/04/10 21:06:18
  • 2一 斬鉄と砕鉄 jigendaddyjigendaddy 2008/04/10 21:06:18
    8 名前: ◆xjCZpXtL0U IDがコロコロ変わる 何故だ 投稿日:2008/04/09(水) 20:26:00.16 ID:07IRNSIR0 一 斬鉄と砕鉄 その昔、鬱田独右衛 ...