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5jigendaddyjigendaddy   三 座頭の擬古

1 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 17:46:29.58 ID:5RS1mcEG0
前回までのまとめ

花束 様
ttp://bouquet.u-abel.net/murder/mokuji.html

人物紹介
 
('A`) 鬱田独右衛門氏脳 うつだどくえもんしのう
 
流浪武士。内藤一刀流の出であり、皆伝を成している。
火富町にて人斬り、曙歩初歩之助兵衛と死合うが、敗れる。
通り名は「悪斬り独」改め、「斬鉄の独」。
 
(´・ω・`) 曙歩初歩之助兵衛 しょぼしょぼのすけべえ
 
人斬りを好む狂人。示現流の出でおり、皆伝を成している。
火富町にて流浪武士、鬱田独右衛門氏脳と死合い、勝利する。
その際に砕鉄の小刀を奪う。通り名は「人斬り初歩」
 
( ^ω^) 内藤武雲法螺居存 ないとうぶうんほらいぞん
 
内藤一刀流師範代にして、内藤家11代目当主。
その腕は天下の狐家から推挙が上がるほどである。
推挙の際、「歩之助兵衛の抹殺」を条件とされ、果たすために旅立つ。
 
川 ゚ -゚) 沙麻空 すなおくう
 
火富町の遊郭、「斉藤屋」で働いていた遊女。
瀕死の独を見つけ保護した。
独に自らの不幸を打ち破ってもらい、共に行くことを決める。

2 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 17:48:03.71 ID:5RS1mcEG0
三 座頭の擬古
 
春風吹き荒ぶ田舎道。向かい風に逆らいながら、男は歩いていた。

(;^ω^)「はぁ、ひぃ、ふぅ・・・」

その男、内藤武雲法螺居存―内藤と呼ぼう―は空腹であった。
羅雲の国を出て早三日目。食の多い内藤であったため、手持ちの食料は
既に昨夜で平らげてしまった。
刻は頭上にお天道様が胡坐をかいて見下ろし、春にも拘らず日が照る。

(;^ω^)「も、無理だお・・・」

膝に手をつけ、その場に立ち止まる内藤。
ふと、霞がかった視界で先を見据えてみれば、茶屋が一軒見えた。

( ゚ω゚)「あれは・・・!!」

すかさず理解すると、内藤は足をピシャリと伸ばし、両腕を広げて駆け出した。

⊂二二二( ^ω^)二⊃「待ってろおー!!今すぐに行くおー!!」

その様は見るからに子供のようであった。

4 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 17:50:00.75 ID:5RS1mcEG0
 
 
( *^ω^)「はふ、はふはふ、はむ!」

次から次へと無くなっていく団子。内藤は金のことなど知らぬふりでどんどんと
食べていく。

「おい、聞いたか?あの人斬りが、丹生速(にゅうそく)町に入ったそうだぜ」

ふと、聞こえてきたその話に、内藤は耳を傾けた。
茶屋には内藤を除いて客は二人しか居らぬ様であった。

「馬路か・・・人斬りといやぁ、あれだ、『悪斬りの独』はどうなったんだ?」

「それが、人斬りを追っているらしい。あぁ、それとな。『悪斬りの独』は古いぜ」

「は?」

「今や『斬鉄の独』が通り名だよ。何でも、刀を斬ったとか」

( ^ω^)(・・・・・)

斬鉄。確かに、独は斬鉄を持ってる。しかし、実際に鉄を斬るとは思えなかった。
そもそも、刀など斬れるような物ではあるまい。

5 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 17:52:00.59 ID:5RS1mcEG0
「ふーん。そういやぁ、その独右衛門にもう一つ尾鰭がついてるよな」

「あぁ、あれか。女を連れてるんだろ?」

( ゚ω゚)「なんですとおー!!」

飲んでいた茶を噴出し、驚きのあまり叫んでしまう内藤。
あの独が、女を連れているとはどういうことだろうか。

(;^ω^)「も、もし、そこのお二方。それは誠にあろうかお」

顔面に付いた茶を拭いながら、話をしていた二人に近づく。

「ん?独右衛門が女を連れてる、ってことかい?」

(;^ω^)「はい」

「それが、本当なんだなぁ。しかもだ、あの『斬鉄の独』が士と決めたらしいぜ」

無論、その女に。
その言葉を聞いた内藤は、眼を見開き絶句していた。

「お?驚いたか。まぁ無理もねぇよなぁ。流浪の癖に侍るたぁ、可笑しな話だわな」

既に男の声が聞こえていないのか、内藤はふらふらと座敷に腰を落とした。

6 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 17:54:00.60 ID:5RS1mcEG0
「?おーい、兄ちゃん?」

(;^ω^)(・・・何考えてんだお・・・独の奴・・・)

もはや、独の事が分からなくなってしまった。
急に道場を飛び出したかと思うと、世を渡り歩き、『悪斬りの独』などと呼ばれ始め、
人斬りと死合い敗れたかと思えば、今度は女を連れて流離うとは。

(;^ω^)(にもかかわらず、まだ人斬りを追いかけてるのかお・・・)

そこに何故女が付いているのだろう。まったくもって分からない。
確かに、我等武士は主君に仕える身である。しかし、どこの馬の骨とも知らぬ女を主君と認め、
その上危険もある道中に連れ歩くなど、どうかしている。
いや、もしもその女性が何者かに狙われているとしたなら、傍に置くのが自然だが。
嗚呼、分からぬ。一体独は何を考えているのだ。
頭を抱え、一人悩む内藤であった。

「っと・・・すみません」

(;^ω^)「おっ?」

そんな内藤の足に、何かがぶつかる音がした。
次いで、何者かの声が聞こえる。

(;^ω^)「あ、いや、こちらこそすみませんですお。つい、考え事をしt―」

7 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 17:56:00.30 ID:5RS1mcEG0
ふっと、顔を窺おうと顔上げた内藤。
しかし、見上げた先にあるものに、驚愕を顔に表した。

(,,-Д-)「いえ、謝らないで下さい。私、盲目でして・・・」

言われずとも、その顔を見れば直ぐに分かる。
両目の上を走る、横一文字の刀傷。

(;^ω^)(なんと・・・惨い・・・)

茶色い、少しばかり太い杖を付いて歩くのだろう。
その杖の先は、内藤の足元に止まっていた。

(;^ω^)「大丈夫ですかお?」

そう言って、手を肩にかけようとしたときだった。
ほんの少しだけ、盲人の手が動いた気がした。

( ^ω^)「・・・?手伝いますお」

(,,-Д-)「なんと、忝い」

しかし、それは気のせいだったのか、違和感は襲ってこなかった。
盲人は内藤の手を取り、隣へと腰掛けた。

9 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 17:58:00.48 ID:5RS1mcEG0
(,,-Д-)「いや、有難い。私、座頭でして」

( ^ω^)「なんと。それはそれは」

座頭とは、盲官の第四等である頭を剃った盲人のことである。

( ^ω^)「どちらへ行かれるのですかお?」

見れば、盲人は風呂敷を背負っている。
きっと旅でもしているのだろう。

(,,-Д-)「丹生速まで」

( ^ω^)「丹生速・・・」

そう言えば、先ほどの男達が人斬りは今丹生速に入ったと言っていた。
ふと、その二人を探してみたが、既に茶屋を出ていたようであった。

( ^ω^)「奇遇ですお。僕も、これから丹生速に行こうとしてたんですお」

そう内藤が言うと、盲人は啜っていた茶を置いた。

(,,-Д-)「なんと・・・凄い奇遇ですね。何故丹生速に?」

聞かれたことは、あまり人には言えない事情であった。
しかし、内藤はふと思う。この盲人には、何を言ってもよいのでは。
と、いうよりも。つらつらと話さなくてもいいことまで話す人間である内藤は、案の定口を滑らせた。

11 名前: ◆xjCZpXtL0U >>8 マジで? 投稿日:2008/04/13(日) 18:00:00.50 ID:5RS1mcEG0
( ^ω^)「実は、人斬りを追ってるんですお」

言った途端、盲人は食っていた団子を噴出した。

(;-Д-)「ひ、人斬りを・・・!?何故・・・?」

当然の疑問である。

( ^ω^)「んー・・・任務、ですお」

(;-Д-)「任、務・・・とすれば、もしや貴方様は幕府の者でしょうか?」

( ^ω^)「に、なるための任務ですお」

盲人は、これは凄い方にあった、と溜息をついた。
一方内藤は、団子を食うだけである。既に十五皿目であった。

12 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:02:00.30 ID:5RS1mcEG0
 
 
「いやー、いい食いっぷりだった!ありがとよ、兄ちゃん!」

( ^ω^)ノシ「おっおっ!またいつか寄らせてもらうおー!」

皿が三十まで重なったとき、ようやく腹に溜まったのか内藤は店を出た。

(,,-Д-)「しかし、よろしいのですか?私と共に行く、など・・・」

茶屋から一里程歩いた所で、内藤の隣を歩く盲人がそう言った。

( ^ω^)「いいんですお。このご時世、危険も付きまといますし、何より弱き者を助けるのが武士の務め。
      ・・・それに」

一人じゃ旅は寂しいんですお。そう内藤は言い、二人は笑った。

それから一刻ほど歩き、ようやく山へと到着する。
この山を越えれば、火富へと辿り着けるのだ。

( ^ω^)「山道は気をつけましょうお、足元が危ないですから」

本来、内藤一人であればひょいひょいと行けるのだが、何しろお供は盲人である。
当然歩く速度は落ち、いつのまにか天に月が昇り、夜の蚊帳を締めていた。

14 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:04:00.48 ID:5RS1mcEG0
( ^ω^)「おっおっ。たまにはのんびりとした旅も良いもんですお」

パチパチと音を立てる焚き火を前に、内藤と盲人は向かい合って座っていた。

(,,-Д-)「流石に、盲人に山道は厳しいですね・・・!」

盲人はそう言うと、杖を手に取った。

( ^ω^)「?小便ですかお?」

(,,-Д-)「お侍さん、お気をつけを。このメクラ、目は見えずとも耳と鼻、よく利きます故」

そう盲人が言い終えたときであった。ザッと草を掻き分けるような、踏みつける様な音が
二人を中心に沸き立つ。

( ^ω^)「!!」

すかさず手を柄へと伸ばし、立ち上がる内藤。
見渡せば、数十人に辺りを囲まれていた。

( ^ω^)「・・・なるほど、山賊かお」

この辺りを根城とした山賊があると聞いたが、まさか自分達の所だとは。
すっかり忘れていた内藤は自分の失態に舌打ちし、腰を深く落とす。
その様は、見るからに独と同じものである。

16 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:06:00.75 ID:5RS1mcEG0
ミ,,゚Д゚彡「ぁあ?なんだ、侍か兄ちゃん?」

ふと、内藤より少し離れた茂みから一人の巨漢が出てきた。
見るからに、この山賊たちの長だろう。

( ^ω^)「見りゃわかるだろうお。なんのために刀下げてると思ってんだお」

親指で軽く唾を弾き、挑発する。

ミ,,゚Д゚彡「その様子じゃ、大人しく従う気はない・・・みたいだな」

対する男は、それを気にしないで居るようだが、手は正直である。
男も自らの刀へと手を伸ばし、抜刀した。

(,,-Д-)「・・・お侍さん」

( ^ω^)「貴方は下がっててくださいお。危ないですお」

ふと、内藤の背後から盲人が話しかけてきた。
振り向きたいところだが、隙を見せれば敵はすぐに襲い掛かってくるだろう。
どうにかして盲人を守りきろうとする内藤であったが、本人も流石に厳しいと思っていた。

17 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:08:00.09 ID:5RS1mcEG0
(;^ω^)(見たところ二十・・・くらいかお・・・。一人でも厳しいけど、その上誰かを守りながらなんて・・・)

そう考えたとき、内藤は今まで誰かを守りながら戦ったことがないことに気づいた。
そもそも、こうして道場外で戦うこと自体、あまり無かった。

(;^ω^)(独は・・・こんな状況でも守りきれるのかお・・・?)

内藤よりも早く世に出、流離う独。耳に届くのは誰かを斬っただの、斬られただの。
思えば、独は内藤よりも修羅場を多く潜り抜けてきたのだろう。

( ^ω^)「けど―僕は独よりも強いお!!」

い「なんだこいつ、殺しちまえー!!」

ろ「ぎゃはは!!気持ちの悪い野郎だ!!」

内藤が叫ぶと同時に、二人の男が駆け出した。
一人は見るから初心者丸出しの、ただ刀を上に掲げただけの構え。
あれでは軽い衝撃でも喰らえば、手から離れてしまうだろう。
もう一人は正眼からの突きか、前へと切先を向けて走ってくる。

20 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:10:01.85 ID:5RS1mcEG0
( ^ω^)(・・・なんだ、これなら・・・)

一人目が後四歩と近づいたところで、内藤は刀を引き抜いた。
流れるような居合いは、敵の両足へと吸い込まれていった。

い「ぎぃ、やぁぁあああああ!!足がぁああ!!」

パクリと太ももが裂け、そこから鮮血が迸る。

ろ「邪魔だボケえええ!!」

い「ぎゃっ!」

倒れた一人目を踏み歩き、内藤へと駆ける敵。

( ^ω^)「ふん!」

敵の刀が屈んだ内藤の頭上へと吸い込まれると、内藤は柄へと手を伸ばし抜刀する。

ろ「おぐぅげぇ!!」

ドゴッ、と鈍い音が胴へと入り、あたりに響くと男は倒れた。

( ^ω^)「峰打ちだお・・・といっても、この距離から受けたらひとたまりもないおね・・・」

言うが、きっと男には聞こえていないだろう。

21 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:12:00.46 ID:5RS1mcEG0
は「こ、こいつ・・・強いぞ・・・」

に「構うこたぁねぇ!!数で押せ、数でぇ!!」

ほ「っしゃぁ!!死にさらせゴミがぁああ!!」

へ「だああらっしゃぁああああ!!!」

(;^ω^)(!・・・四人・・・どうするかお・・・)

前方から三人、右から一人と攻め込まれた内藤。
前方の三人はまだ近くはなく、右からは後七歩ほどで来るだろう。

(;^ω^)「くっ・・・」

一先ず右へと走りより、一人の男へと一閃する。

へ「がああああ!!」

喉元へと峰を叩けつけた。もしかしたら首がへし折れているかもしれない。

と「もらったああああ!!」

ふいに、背後から声が響いた。
少しだけ首を動かせば、短刀を構えた男があと二歩という距離にまで迫っていた。

22 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:14:00.39 ID:5RS1mcEG0
( ;゚ω゚)「しまっ―」

と「あひゅっ!!」

あと一歩、という所で、男はその身を止めていた。
しかし、それよりも目を見張るものがあるのは、その口元だった。
何故か口から刀の先が出ている。

( ;゚ω゚)「んなっ・・・」

「・・・そう言えば、まだ名乗っていなかった・・・な・・・」

急に男の口から切先が消えると、男は倒れる。
そして入れ違いのように、そこには先ほどまで一緒に居た男、盲人が立っていた。

(,,-Д-)「某―」

まるで時が止まっていたのは、事実でもあった。
突然の出来事に、その場に居るものは固まってしまったのである。

(,,゚Д゚)「名を頭佐擬古(ずさぎこ)。人は皆、『座頭の擬古』と呼ぶ」

盲人―擬古と呼ぼう―はその両の眼を開けた。
しかし、やはりと言えるが、その眼は見えていないようであった。
ふと手を見れば、そこにはあの少し太い杖が握られている。
だがしかし。それは杖にして杖にあらず。
直刀が、そこにはあった。

23 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:16:00.43 ID:5RS1mcEG0
( ;゚ω゚)「仕込み・・・いや、そんなことより!」

は「座頭の・・・擬古・・・だと・・・?」

に「天下の盲人ヤクザ・・・!?おい・・・」

ほ「あ、あぁ、ヤベェ・・・コイツはやべぇ・・・!!

へ「に、逃げろ!!」

『座頭の擬古』と聞いた瞬間、その場に居るものは戦慄し、敵のほとんどが逃げてしまった。
だが。

(,,゚Д゚)「―逃がすとでも、思ってんのか?」

ほ「へ―」

ズシャリ、と、音が響く。
内藤の視線の先、そこには首のない男が突っ立っているだけであり、間抜けのように血を噴出
していた。

24 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:18:00.24 ID:5RS1mcEG0
(,,゚Д゚)「かかっ!」

は「う、うわああああ!!!」

に「逃げろおおおお!!」

座頭の擬古。天下の盲目のヤクザであると言われる頭佐擬古がその本人である。
ヤクザと言われては只の悪人と思われるが、擬古は悪人を斬って旅をしていた。
だが、その斬る様はまさに修羅の如くと言われ、擬古は殺すことを楽しんでいると見受けられた。

( ;゚ω゚)「・・・座頭・・・擬古・・・」

当然、内藤も知ってはいた。
盲人のヤクザがいるということなど。だが、よもや一緒に歩いていた盲人がそうであるなど、誰が思うか。

(,,゚Д゚)「そこか!?」

ち「ひゅっ!?」

スパリ、と首がまたも落ちる。
逃げ惑う敵をどんどんと狩るその様は、まるで遊んでいるように思えた。


25 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:20:00.33 ID:5RS1mcEG0
(,,゚Д゚)「・・・ん?」

ふと、突然立ち止まる擬古。

(,,゚Д゚)「・・・手前か、親玉は?」

既に言葉遣いすらもヤクザのソレになる擬古は、先ほどの山賊の長と思わしき男の前へと立った。

ミ,,゚Д゚彡「・・・如何にも。手前、『座頭の擬古』なんだって?」

面白れぇ!!と男は叫ぶと、自らを名乗り上げた。

ミ,,゚Д゚彡「俺の名前は布佐擬古(ふさぎこ)!!奇遇だねぇ、おんなじ名前さぁ!!」

そう叫び終えると、男は刀を掲げた。

ミ,,゚Д゚彡「そんでぇ!!さようならだ!!」

片腕で振り下ろされたその刀は、まるで神速である。
だが、太刀筋は滅茶苦茶であり、ただ振り下ろしているだけであった。

(,,゚Д゚)「甘ぇ」

対する擬古は、杖へと戻された直刀の柄へと手をかける。

26 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:22:00.57 ID:5RS1mcEG0
ミ,,゚Д゚彡「そんな細身じゃ圧し折れるぜ!!」

(,,゚Д゚)「かっ」

ミ,,゚Д゚彡「え?」

シュパン、と。
布佐の振り下ろした刀は、擬古の一歩左へと落ちていた。
対する擬古の直刀は、布佐の首を掻っ切っていた。

(,,゚Д゚)「かっかっかっかっ!!!弱え!!」

カチン、と杖へと直刀を戻し、擬古は振り返る。

(;^ω^)「・・・・・」

(,,゚Д゚)「残りは逃げたみてぇだな・・・」

内藤は考えていた。
この男、『座頭の擬古』の事をだ。

(;^ω^)(強い・・・異常なまでに・・・)

知っていたはずだった。『座頭の擬古』のことは。
噂では、あの人斬りよりも強いのでは、と聞いていた。
だが、その実力を目の前で見た内藤は、人斬りよりも遥かに強いであろうと思ったのだった。

28 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:24:00.60 ID:5RS1mcEG0
(,,゚Д゚)「おい、お侍さんよ」

(;^ω^)「は、はいいぃい!?」

突然に名を呼ばれ、驚く内藤。

(;゚Д゚)「そんなに驚くなよ・・・名前、教えてくれよ」

呼びづらくて適わん。そう擬古は言った。

(;^ω^)「あ、そう言えばまだ言ってませんでしたおね」

一つ咳払いをすると、内藤は名乗る。

( ^ω^)「僕の名前は内藤武雲法螺居存ですお」

(;゚Д゚)「内藤!?・・・ってぇと、もしやお前・・・いやまさか・・・」

ふと、考えるような仕草を見せる擬古。
それに気づいたのか、内藤は擬古の考えていることに思い当たるふしを感じる。

30 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:26:00.40 ID:5RS1mcEG0
( ^ω^)「・・・たぶん、擬古さんの考えてる通りですお。僕は内藤一刀流の十一代目ですお」

(,,゚Д゚)「そうか、お前が・・・噂は聞いてたぜ。内藤の頭首が、人斬りを討つと。
    まさかお前がそうだとは・・・薄々只者じゃないと感じてたが・・・」

どうやら内藤の話は広まっているようであった。
よく思うことだが、一体噂とは何処から流れてくるのだろう。
一日も経てば、知らぬ間にソレは全国へと知れ渡る。

( ^ω^)「只者じゃないって、それを言うなら擬古さんこそだお。まさか『座頭の擬古』なんて思いもしなかったお」

先ほどまでの焚き火の場へと移動し、またも向かい合って座る。
そこら変に屍が横たわっているが、弔うのは一先ず後のようだ。

( ^ω^)「貴方も居合う者ですかお」

擬古の剣術はまさしく居合いであった。
先ほど布佐を斬った時もそうであったが、凄まじい腕のようである。
逆手抜刀。擬古はソレをしていた。

(,,゚Д゚)「まあな。普通に斬りあうんじゃ俺には不利すぎる」

と言われ、内藤は擬古が盲人であることを思い出した。

(;^ω^)「しかし、よく眼も見えないのに戦えますおね」

33 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:28:00.65 ID:5RS1mcEG0
不思議に思ったのはそこだった。
まるで眼の見えるかのような動き、そして的確に喉元を斬る様からは、とても眼が見えないとは思えなかった。

(,,゚Д゚)「なんつーか、分かるんだ。耳が、鼻が、そして感が教えてくれる。ここを斬れ、ってな」

よく聞く話だが、五感のうち一つでも失うと、他の感覚機能が高まるという。
擬古はその耳で敵の位置と聞こえる血の流れ、そして鼻で汗の匂いなどを嗅ぎ分けていたのだ。

(,,゚Д゚)「首は汗がよく伝うからな。おまけに脈も多く通ってるからよく聞こえる」

擬古が首ばかりを狙うのはそのためであった。
ふと、二人はそこで話を止めた。
特に意味もないが、そのまま夜空を見上げる。

(,,゚Д゚)「俺ぁな」

そんな静かな空気の中、擬古が話し出す。

(,,゚Д゚)「人斬りと死合ったことがあるんだ」

( ^ω^)「!!」

驚き、内藤は擬古を見やる。
だが、擬古は未だ夜空を仰いでいた。

(,,゚Д゚)「あの時はまだ眼が見えてて、『座頭の擬古』なんて謂れ名も無かった」

ふいに、夜風が吹き荒んだ。
まるで切り裂くようなその風は、しかし居心地のよいものであった。

35 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:30:00.40 ID:5RS1mcEG0
(,,゚Д゚)「この眼はな。人斬りにやられたのさ」

(;^ω^)「なっ!!」

それを聞けば、もう話は分かる。
つまり、擬古は人斬りに敗れている。そういうことだろう。

(;^ω^)「貴方ほどの腕の持ち主でも、勝てなかったのですか」

(,,゚Д゚)「・・・ああ。奴は強い。俺よりもな」

だが。と、擬古は付け足す。

(,,゚Д゚)「俺はまだ死んでいない。いや、本当はあの時死んでいたんだ。人斬りに負けたときに。
     だが、俺は今もここで息をしている」

武士ならば分かるだろう。死合い、敗れることとは。
つまりは、死ぬことである。果し合いとは、己が全てをぶつけ合い、勝った者のみが生き残れるのだ。
だが、敗れた者には死しか待っておらず、生きることは恥を背負うことである。
生きながらにして死んだ男、擬古。だが彼も独と同じであった。

(,,゚Д゚)「俺は奴を殺す。俺を生かした罰だ。生き恥を背負い、眼までも奪われた」

だから擬古は人斬りを追っていた。
そのために丹生速へと向かっていたのだった。

37 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:32:00.47 ID:5RS1mcEG0
(,,゚Д゚)「そして、その後に自刃してやる。最後だけは、武士らしく死にたい」

既に死んでいる擬古。だがその死に様は、まさしく武士にとっては最悪であった。

( ^ω^)「・・・そうですかお」

ふと、またも夜空を見上げる内藤。
なんとなく、見上げてみたその夜空。もしかしたら、あの星は刀の煌きなのかもしれない。
幾百人もの武士達の刀がぶつかり合った際の閃光なのかもしれない。
そんなことを、内藤は考えた。

( ^ω^)「僕の友も、人斬りに敗れましたお」

ふいに口から出たのは、独のことであった。

( ^ω^)「彼も貴方のように、今も生き、そして人斬りを殺すためにその後を追ってますお」

(,,゚Д゚)「・・・その友とは、『斬鉄の独』か・・・?」

今や日本中に知られている独と人斬りの関係。
独は人斬りを追い、人斬りは流離っている。
人斬りは、もしかしたら今まさに誰かを斬っているのかもしれない。

( ^ω^)「・・・複雑ですお」

38 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13(日) 18:33:00.52 ID:5RS1mcEG0
擬古の問いには答えず、内藤は思いを呟いた。
まるで、皆が皆人斬りを殺すために生きているように思えるのだから。
そして、その中に自分も含まれているのだから。

( ^ω^)「・・・擬古さん」

(,,゚Д゚)「・・・何だ?」

春も中ごろに入った時期。またも噂は広まった。

( ^ω^)「星が、綺麗ですお・・・」

一つは、あの内藤武雲法螺居存が人斬りを追っていること。
もう一つは、その内藤が『座頭の擬古』と共に旅をしていることだった。
 
 
三 了

(’A`)は人斬りと死合うようです
返信2008/04/13 19:05:47
  • 5三 座頭の擬古 jigendaddyjigendaddy 2008/04/13 19:05:47
    >http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1208076389/:title> 1 名前: ◆xjCZpXtL0U 投稿日:2008/04/13 ...